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ガーデアン・オブ・デーヴァ  作者: 機巧木馬
1/1

序章 歌姫と騎士

登場人物

神谷拓斗(かみや たくと)/タクト・オルフェスク…主人公

天音美歌(あまね みか)…ヒロイン

「誰か…聴こえますか?私の声が…私の歌が…」


一人、少女は泣いていた。誰もいない礼拝堂、神の御前で…

直前まで祈りを捧げていたのか、少女の声はか細くかすれている。

少女は覚悟していたのだ。もうすぐ、主のもとへいくことを、自分の短い生涯を閉じることを…

「おい、開けろ!!」

「観念しろ!!歌姫 《デーヴァ》!!!」

礼拝堂の閉ざされた扉の前には、けたたましく獣のような男の声がする。歌姫 《デーヴァ》と呼ばれた少女は、まさしくこの者たちに

命を狙われているのである。


ドン!

「ひっ!」と彼女が口を抑えて、ささやかな声をあげる。その音は間違いなく扉が開く音だったが、礼拝堂の大きな青銅扉の、重く低い音ではなく、木の扉が開く、軽く甲高(かんだか)い音であった。どうやら、裏口の隠し扉が開いたようである。

「姫様、大変お待たせしました!」

少女はその聞き覚えのある頼もしい声に安堵し、精一杯声を振り絞り語りかけた。

「タクト!会いたかった…ばかばかばか!!!怖かったんだからね、

もうだめだと思ったんだからね!!」

「すいませんでした。敵の…魔奏楽団(まそうがくだん)の攻撃が想像以上に激しくて、ここに来るまで時間がかかってしまいました」

少女の目の前に現れた、頼もしい声の主は、タクト・オルフェスク。彼女を、歌姫 《デーヴァ》を守護する騎士である。彼はここに来るまでに、よほど激しい戦いをしていたのだろう。彼の体からは、無数の傷と溢れんばかりの紅い血が流れていた。

「ひどい傷…早く手当てをしないと」

「心配は入りません、それより早く、儀式の準備を」

「本当にいくのですね、メイジャーワールドへ…」

少女の表情は重く、寂しさに溢れていた。

「仕方ありません。敵の手から逃れるためには、もはやこれしか手段がありません。さあ、こちらへ」

タクトは、少女を神の御前に導き、口を開き、呪文を唱える。

「我らが主、アポローンよ…貴方が愛し、貴方を愛す、愛しき歌姫 《デーヴァ》を貴方のもとへ、メイジャーワールドへ導きたまえ…」

呪文を唱え終わると、少女の体が輝き始めた…


ドゴオォン!!

「ふぅ、やっと開いたぜ!」

「げぇ、あれはタクト・オルフェスクじゃねぇか!?ついてねぇ」

重く低い音をならし、礼拝堂の青銅扉は、打ち破られてしまった。


「タクト!あなたも早くこちらへ!」

少女は、敵の前に立ち向かった彼に声を掛けるが彼は、その言葉に

振り向くことはなかった。

「姫様、私は最後まで歌姫 《デーヴァ》を守護する騎士として、あなたが無事に旅立つのを、見守ります。大丈夫です、こいつらを倒したら、私もそちらへ向かいますよ」

「いやぁぁ!タクト!」

光に包まれて消えていく少女の伸ばした手は、彼に届くことはなかった。

「さよなら、ミカ…」

少女が、ミカが、旅立つのを見送って、彼は目前の敵に言い放つ。


「我は、シンフォニア公国第一師団団長 歌姫の守護神 《ガーデアン・オブ・デーヴァ》、タクト・オルフェスクだ!我らが姫君に楯突いた者たちに容赦はせん!!」


「ちっ!歌姫 《デーヴァ》は消えちまったか、まあいい」

「けけけ!野郎共!このいけかない騎士さんをやっちまおうぜ!」

オオオッという声が響き渡る。タクトと魔奏楽団(まそうがくだん)との激しい剣撃が繰り広げられる。


だが、その戦いの行方は誰も知らない…

ガーデアン・オブ・デーヴァ 序章 歌姫と騎士ご覧いただきありがとうございました!!


次回、第一章 アイドルとアイドルオタクお楽しみください!!

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