出会いイベント:柿谷さん
お気に入り100件どうもありがとうございます!
まさかこんなに増えるとは思っておらず、画面の前で一人慌てふためきました…
消えたい!
消えて無くなりたいよ!
どうしてこんなことになったのか。
そう、私は悪くない。
悪いのはスマホの目覚まし機能だ!
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_ちゅんちゅん、ちゅん。
私は小鳥の囀りで気持ち良く目覚めた。
いい朝だな、なんて背伸びをしながら時計を見ると8時20分。
……は、8時20分!?
スマホを見てみても時間に狂いなど無く、目覚ましは12時間後の午後6時半に設定してあった。泣きたい。
そして、私の机にはお母さんからの置き手紙。
《唯香へ
夜勤が終わり次第行くからお母さんは遅れるけど、余裕を持って早めに行きなさい。気をつけて行ってらっしゃいね。
お母さんより》
「う、うわああああああああああ!」
思わず絶叫してしまった。
ベランダの小鳥は私の叫びに驚き、一羽残らず飛び立って行った。
私はボサボサの髪を梳かし、真新しい制服を着て玄関へ走った。
朝食?
…そんなもん食べてたら遅刻イベントが見られないじゃない!
私は学校へ向けて全速力で走り出した。
入学式開始の8時半には間に合いそうもないけど、せめて遅刻イベントだけでも…なんて意気込みながら。
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「やっと…着いたぁ…」
呼吸を整えながら時計を見れば8時48分。
遅刻イベントに間に合わない!
でも、足が既に棒になっていて走れない…。
私は落胆した。
受付に向かってとぼとぼ歩いていると、そこには柿谷さんがいた。
…ということは、イベントはこれからなのか!
私は咄嗟に木の裏に隠れ、柿谷さんとヒロインの出会いイベントを待った。
…が、何故か柿谷さんは私のいる方へ体を向けた。
「え?」
私が首をひねっていると、柿谷さんが何かをぶつぶつ言いながら駆けてきた。
私は、自分に関係の無いイベントのフラグを壊す気など無い!
むしろ見たいのだ。
だからさっさと謝って遠くから見物させてもらうことにした。
「す、すみません!寝坊です!失礼します!」
さっきまでの疲れは何処へやら。
私は体育館に向かって走り出した。
「待て!」
ああ!来ないで来ないで!
そう唱えていると、願いが通じたかのように姫奈様が現れた!
…が、ほっとしたのも束の間。
私は柿谷さんに捕まってしまった。
肩を掴む腕が痛い。
あ、姫奈ちゃんが通り過ぎて行った!
柿谷さん!後ろ!後ろ!
「唯香」
「は、はいー…」
ああ、怒られる。
私はそう確信してぎゅっと目を瞑った。
…が、その気配は無い。
恐る恐る目を開けば、顔を真っ赤にした柿谷さんがそっぽを向いて居た。
…え?お説教は免れた…?
「お前…」
私の顔を見てそう一言呟くと、柿谷さんは俯いた。
もしかして、マスカラに気づいた?
遅刻ギリギリでもお洒落したいのが女子よ!
「柿谷さん、顔面ゆでダコ…。」
思わずそう呟けば、目を丸くした柿谷さんが私を見つめてきた。
…あ、ヤバイ。
このスチルは柿谷さんとの出会いイベントのだ。
もちろん内容は違うけど…。
柿谷さんは、この出会いイベントを逃すと攻略ができない。
しかしそこにはもう姫奈ちゃんの姿は無く、知らないうちにフラグを折っていたことに気づいた私はその場から一目散に逃げ出した。
…ごめん、姫奈ちゃん。
姫奈ちゃんの推しキャラが柿谷さんで無いことを願います!
私は、追いかけてくる柿谷さんを気休め程度に拝んでおいた。
更新が不定期で申し訳ないのですが、当方受験生のため3月まではこのペースでの更新となると思います。
ですが、これからもどうぞよろしくお願い申し上げます!