サポートキャラ、そして焼肉
入学式まであと一週間を切って、私は前世の記憶を参考に夢恋の攻略キャラの情報をノートに書き出し始めた。
そして今もその真っ最中なのである。
攻略キャラは、柿谷さんと隠しキャラを含めて5人いる。
隠しキャラの情報は残念ながら持っていない…。
というか、3人目を攻略する途中で転生してしまったからあんまり分からない！
今度詳しく真奈美に聞いてみよう。
とりあえず、隠しキャラと柿谷さん以外の3人について簡単に説明すると…
・大道寺蓮斗
3年生。
大道寺財閥の御曹司で桜高の生徒会長。
藍色の髪に黒い瞳。更に黒縁メガネ！
会長の微笑みは心臓に悪い。殺人レベル。
ちなみに結花の一押しキャラだった。
会長は全部クリアしたよ！ドヤッ！
・柳沢要
2年生。
チャラ男でいつもニコニコ。
明るい茶色の髪には天然パーマがかかっており、瞳は黄色。
見かけによらず読書家。
チャラ男は攻略が難しすぎて泣いた。
ちなみに、チャラ男はバッドエンドしか…あああ。
・井上コウ
1年生。
特待生で主人公のクラスのムードメーカー。
大食いでグルメ。
燃えるような赤い瞳と髪は見ているだけで蒸し暑い。
性格はただひたすらに明るい。そして純粋。
以上、真奈美の言動より引用！
私は攻略できなかったけど、暑いのは苦手なのでまあオッケー！（謎）
攻略キャラの周りはいつもイケメソオーラでキラッキラ！
特に会長の笑顔は大食いコウ君とは違った意味で失明注意なのである！
前世にはまだ未練があるけど、会長の笑顔を生で見られるのは…非常に有難い。
いかんいかん、思わずにやけてしまったよ。
そういえば、先日制服の採寸で主人公のサポートキャラの城ヶ崎柚葉ちゃんに会ったのだ！
ゲーム内でクラスの委員長として皆をまとめ、ヒロインと攻略キャラの仲立ちをする彼女。
綺麗な黒髪は二つに分けられ三つ編みに、整った優しげなお顔には縁無しのメガネが掛けられている…
どうしてヒロインはコンタクトを勧めなかったの！？
嗚呼！勿体無い！
いても立ってもいられなくなり、私は彼女の元へ駆け出した。
「あの！城ヶ崎さん！」
と息を切らしながら呼びかければ、案の定振り返った城ヶ崎さんは怪訝な顔をした。
いきなりじゃ驚くよね、ごめん。
「私、馬渡唯香って言います。
いきなりなんだけど…友達になってくれませんか？」
うぇーい。言っちゃった！
ここで断られたら盛大に凹むよ！
「えっ…あ…わ、私でよけれびゃっ！」
噛んだ！噛んだっ！
可愛い、大きな瞳が涙で潤んでる。
…攻略されちゃいそうだ！
こうして、話しているうちに私達は互いを名前呼びするくらい仲良くなったのだ！
「柚葉ちゃんは本当に可愛いよね！
私の心のオアシスだっ！」
私がそう言って拝めば、柚葉ちゃんは真っ赤になって首をぶんぶん振りながら
「そんな！唯香ちゃんには敵いません！」
なんてお世辞を言うの！
…ちょっとなでなでしても良いかしら？
私は、地味子オーラを醸し出すダイヤの原石的な柚葉ちゃんを私好みに磨くことを決意した。
手始めにコンタクトを強くお勧めすると、彼女は「この機にメガネから卒業しちゃおうかな」なんてはにかんだ。
帰り際に、私はツインテールが好きなんだとさりげなーーーーーく言っておいた。
本当にさりげなーーーーーく。
帰り道私は、入学式が楽しみだなーなんて一人ほくそ笑んだ。
ふぉっふぉっふぉ…全ては私の思惑通りじゃーい！
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今日はお母さんのパートの日なので柿谷さんと久々の外食！
何が食べたいか聞かれたので、思わず元気良く「焼肉！」と答えてしまった。
そう、私は焼肉が大好きだ！
そして私は牛肉より豚肉派なのだ。
柿谷さんは「お前本当に焼肉好きだな」なんて笑いながら、私を車の助手席に乗せた。
今日はいっぱい食うぞ！
私は一人ガッツポーズをした。
焼いては食べる、焼いては食べるを無言で繰り返しお腹も満たされた私は、帰りの車で服を捲り上げ、膨らんだお腹をさすっていた。
臨月です。
柿谷さんが慌てて止めたが問題ない。
暗いから誰も見てないさ。
私が「幸せ〜」と呟けば、柿谷さんは私の頭を大きな手でもふもふしながら「俺もだよ」なんて笑った。
入学して柿谷さんがヒロインと出会ってしまったら、助手席に座るのは私じゃなくなるかもしれない。
もうこんな風に焼肉を食べに行くことも無くなるのかもしれない。
そう思うと少し淋しくなった。
「柿谷さんに恋人ができても、たまには焼肉に連れて行ってね。」
泣きそうな声でそう呟くと、何故か柿谷さんに吹き出された。
私の焼肉への愛は本物なのに！
※主人公は決して変態ではありません
※可愛い女の子が大好きでも違います
＜8/24日＞
サポートキャラの名前のミスを修正致しました。
城ヶ崎の「ヶ」に読み仮名が付けられずおかしなスペースが生まれております、すみません。
9/6
内容を変更致しました。
