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俺だけの(佑二視点)

「柿谷さんはお母さんと結婚するの?」


そう聞かれた時は本当に耳を疑った。

俺があいつと?

どうしてそうなるんだ。


「俺が好きなのは唯香おまえだけだよ」

そう言って微笑んでも彼女は顔を赤くして否定するだけ。


それどころか、最近は俺の事を"お父さん"だと思っているらしい。

…やりきれない。


元々俺と、唯香の母親である和紗かずさは家族同士の仲が良く、いつも遊んでもらっていた。

和紗が15歳だった頃は、俺はまだ5歳だった。

はっきりとは覚えていないが、とことん虐められた気がする…。



今のところはまだ、それを唯香に話していない。

だからこそ母親の再婚相手と勘違いされてしまった訳だ。


和紗は二十歳になるといきなり結婚した。

相手は深緑の髪の優しげな男だった。

そして、翌年生まれた唯香の髪色も父親譲りの緑色だった。


まだ11歳だった俺は、唯香の世話をあまりすることもなく父親の転勤とともに転校してしまった。

だからこそ、二十歳になってこっちに戻って来た時は9歳になった唯香の成長に驚いた。


その頃にはもう唯香の優しげな父親はおらず、和紗はその理由を俺にすら教えてくれなかった。


唯香が受験生にもなった頃、桜高で新米教師となった俺は自分が唯香を好きになっていることに気づいてしまった。

しかも、和紗にはバレていたらしい。

「ロリコン」と毎日のように言われ続け、虐められていた幼き日の悪しき思い出が蘇った…。


唯香が母親に似ませんように。

その願いが通じたようで、唯香は素直で優しい子になってくれた。

…鈍感なところが玉に瑕だが。


そして、唯香にはまだ志望校が無いとのことだったので、桜高をごり押しした。

まあ、"お父さん"という立場もたまには役に立つようだ。


ごり押ししすぎて引かれたようだが、授業料免除のことなどを教えると早速勉強を始めた。

本当に素直でいい子だ。


ところが、和紗の話によると急に桜高への受験をやめたいと言い出したらしい。

俺への態度も受験勉強を始めたあたりから素っ気なくなってきた気もしていた。

受験生になるまではべったりだったのにな。

思春期なのだろうか。少し淋しい。


でも、和紗のキラースマイルで受験校の変更は免れた。

そのお礼にと和紗に高級和菓子をねだられたのは計算外だったが…。



こうして無事受験も終わり、今日はその発表の日だ。

俺は勤務の日だったが母の友人である本校の鬼教師(顔だけ)に頼み込み、1時間だけ抜け出した。


そして今、唯香の手をとり歩いているが、周りの奴らが五月蝿い。

俺たちの甘い雰囲気を壊すな。

唯香が挙動不審になっていたのでちょっと頭を撫でてみた。

赤くなりながらも気持ち良さげに目を細める唯香が可愛すぎる。

更に、唯香の受験番号を見つけて指差せばぎゅっと抱きついてきた。

…できるならこのまま食べてしまいたい。


俺はその細い首筋に顔を埋め、唯香を堪能した。

周りが五月蝿い。空気を読め。


一瞬身体を強張らせた唯香だったが、顔を真っ赤にしながら俺を突き放し、強引に手をとり走り出した。

ずっと抱きついてくれても良かったと思ったが、たまにはこんな強引な唯香も良い。


しかし、帰りの車では唯香は無言だった。

まだ顔が赤い。

大好きな唯香が俺に照れていることに優越感を感じた。


仕事をちょっとサボ…休んだことは咎められたが、唯香の方が大事に決まってる。



仕事を終えて唯香の家に来ると、テーブルの上には小さなメモがあった。


《佑二へ


私のパートの間に唯香に手を出したらぶっ殺す。


夕食は温めて食べてね。

ついでに皿洗いも宜しく。


和紗》


手を出すって…どんだけ信用されてないんだ。俺。


だが、午後7時を過ぎても唯香はリビングへ降りてこない。

昼間のアレで拗ねたか…?


俺は夕食を持って唯香の部屋に足を踏み入れた。

相変わらず何も無い部屋だ。

ぬいぐるみは…1つある。

俺が初任給で買ってやったうさぎのぬいぐるみだ。

思わずにやけてしまう。


拗ねていると思っていたが、唯香は勉強机でうつ伏せのまま寝ていた。

起こそうとしたが受験が終わって安心したのだろうと思い、ベッドに寝かせることにした。


…が、抱き上げた唯香の寝顔に理性が崩壊しかけた。

俺は唯香に布団を被せると、逃げるように部屋を後にした。

危ない危ない…。


あと三年。

あと三年我慢すれば。



…俺だけの唯香モノにできるんだ。






※佑二はロリコンです。

※そしてちょっと病んでおります。



9/6

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