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高校受験

しまったー!

人生最大の失態だ!


フラグ破壊には関わらない、というかまずヒロイン、攻略キャラには関わらないって決めたのに。

柿谷さん攻略キャラでした!

てへっ☆


…じゃないよ!

だって柿谷さんのルートにこんな娘出て来なかったもん!

まあ、柿谷さんルートはハッピーエンドしか見てないからかもしれないけど…。


確かに柿谷さんは超格好いい。

お母さんとも一緒にいることが多いから、再婚でもするのかと最初は思ってたけど。

あんなイケメソがお母さんに釣り合うわけ!

…おっと。背中が痛い。なんか刺さってる。


振り向けばお母さんが微笑んでいた。

目が笑ってないよ!

そして、怖がる私を一瞥して静かにその場を後にした。

いい年して泣きそうです。


とにかく、私はこの乙女ゲームに関わりたくないので、桜高の受験をやめようと思います!

そうだ!それがいい!


私はお母さんの元へ駆け出した。



--------------------



皆さん、お久しぶりです…。

今日は桜ヶ丘高等学校の受験の日です!


え?受験しないんじゃなかったのかって?

…察してくれよ。

あの後お母さんに笑顔で殺されかけたんだよ。


挙句の果てにはお母さん。

「医者の息子と結婚したら玉の輿よね!

桜高でいい人捕まえるのよ?」

とか言い出した。


もはや私に拒否権はナッシング!

基本的人権の尊重?

何それ、美味しいの?


最近はお母さんとすれ違う度に「合格!」と拝まれ続けていたので、やっと解放されるのかと思うとすっきりした気持ちになった。

お母さん安心してよ。

これでも転生者なのだから!

ふぉっふぉっふぉっ…。


こうして、私は受験会場へ向かった。



--------------------



時が過ぎるのは早いもので合格発表の日がやって参りました。

今日はパートのお母さんに代わって、柿谷さんとここに来ていた。

しかも仲良くおててを繋いで…

羞恥プレイですか、これ。


なんか私の肩の向こうが輝いてる。

何故って?

柿谷さんがイケメソだからに決まってるよ!

ほらー!

柿谷さん!「どうした?」なんて言いながら首をこてんってしない!

イケメソは黙って溢れ出す色気でも抑えててください。


イライラしながら自分の番号を探していると、柿谷さんが私の受験番号を指差して「おめでとう」と笑った。

私は嬉しさで柿谷さんに抱きついてしまった。


…あ、やば。

気づいた時には手遅れでした。

実は柿谷さん、首筋フェチでーす。

はい、笑えません。


柿谷さんは周りの目を気にすることもなく、私の首筋に顔を埋め始めた。

…やめろー!

皆見てるよ!おい!そこの乙女羨ましがらない!


恥ずかしくなった私は、柿谷さんの手を強引に引っ張りながらそそくさと車に乗り込んだ。

拗ねた私は話しかけてくる首筋フェチ野郎を無視し続けていた。

…が。


家に着いた途端、運転席の首筋フェチ野郎はいきなり呟いた。

「それじゃ、俺は仕事に行くよ。

合格本当におめでとう。これからはもっと一緒に居られるんだな」


…は?

仕事あったんかい!完全なサボりじゃん。

一人で行けたのに、と呟けば「お前の方が大事だ」なんて微笑まれた。

心臓に悪いのでおやめください!


私はむすっとしながらもありがとうと告げると、乱暴にドアを閉めた。

おいそこの首筋フェチ野郎!去り際にさりげなく片手を上げない!「じゃあな」じゃねえよ!

格好良過ぎだから!


家に帰るとお母さんに「顔面ゆでダコ」と言われた。

そこはおめでとうが先だろう!

まあ、車内が暑かったとでも言っておこう。



その夜、見るからにご機嫌の母はパートに行く準備をしていた。

そんなお母さんが、家を出る時に「玉の輿〜」と歌いながら妖しく微笑んでいたのは私の気の所為だと信じたい。


受験を終え解き放たれた私は、久々に机の奥から黄緑色のスマホを取り出した。

真奈美に知らせなきゃね。


電源を入れた瞬間、私は言葉を失う。



---新着メール140件---


…わー。

真奈美のしつこさは健在のようだ。

一通一通読んで見たが、全部長文で目が疲れた。

しかも全部重要な話でした。


まず、最初らへんのメールは全てヒロインと攻略キャラのプロフィールだった。


他のキャラのプロフィールには納得したが、首筋フェチ野郎こと柿谷佑二のプロフィールには首をひねる部分が沢山あった。


無口。クール。笑顔はあまり見せない。

ないないないないないないない(略)


いや、でも前世でゲームをプレイしていた時も柿谷佑二はハッピーエンドで攻略したけど…確かに最初は表情の変化が乏しかった。

好感度が上がるとともにデレていく佑二が可愛いと真奈美も言ってたっけ?


じゃあ、私に微笑んだり手をつないだり首筋に顔を埋めるのは好感度が高いから?

…いやいや。あれだ。

家族のようなものだからか!

ちょっとびっくりしたよ!



その後真奈美と久々に電話した。

電源を切っていたことを怒られた。絞られた。

いやー、こう見えても勉強熱心なのよ。私。


電話を切った後、私は夕食も摂らずにその場で居眠りしてしまった。



目が覚めると何故かベッドで寝ていたので、瞬間移動でもしたのかと思った。

…私器用だし、自分でよじ登ったのかな?

机の上にラップを掛けられた夕食があったのは、柿谷さんが持って来てくれたのだろう。


もう受験生じゃ無いんだから起こしてくれればリビングに行ったのにな。

まさか柿谷さんも気まずくなったとか!?

私は噴き出しそうになりながら、目の前のハンバーグに「いただきます」と手を合わせた。



次は佑二視点の予定です。


9/6

内容を変更致しました。

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