表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
15/17

お叱りイベント : ???

お久しぶりです。

本日はもう一、二話投稿するつもりです。



どうしよう。どうしよう。

私は今、とても困っています。

私がヒロインなら、誰か助けに来てくれるのにな。


とりあえず今の状況を説明すると、10名の女生徒達に道を阻まれております。

しかも全員、綺麗にボーリングのピンの形に並んでます。

「まさかの甘~いハーレムですか?」なんて甘い期待は全くもってしておりませんよ?

…目の前のレディの皆さんは全員、会長様のファンクラブの方々なのでございます。

でも、やはりそこに礼子様のお姿は無い。


「ねえ、ちょっと宜しいかしら?」


突然のことに私が呆然としていると、一番ピンさん(仮)が話の口を切った。

一番ピンさんは、でゆるくウェーブのかかったスカイブルーのロングヘアを横に流している。

同じくスカイブルーの瞳は垂れ気味で、口元のほくろが色っぽい。

第一印象はTHE・大人の女性って感じだ。


「私、蓮斗様のファンクラブの会長をやっている一条いちじょう愛美まなみと申します。会長とはクラスも同じですの」


愛美と真奈美。

同じ名前でもこんなに違うのね。

…なんて言ったら真奈美に怒られちゃうかな。


それにしても…誰?

こんな麗しいキャラいたかな。こんな美女を忘れるはずないんだけど。


「あ、私。一年の馬渡唯香です。」

「存じておりますわ。私達、貴女に忠告しに参りましたの」


…ん?待てよ?

この台詞はもしや、「礼子様のお叱りイベント」ではないか!?

何故か礼子様では無いけど、なんでまた私に?


「え、あの。人違いでは?」


咄嗟にそう口走ってしまった。

あ、愛美様の顔から笑顔が消えた。


「あら?私、見ておりましたのよ?

貴女が会長を生徒会室の前で誘惑していたところを!」


そう言って愛美様は私に向かって勢いよく指を指した。

…と同時に愛美様の豊満な胸がボンッと揺れた。

お願いします。少し分けてください。


…っと、愛美様はどうやら勘違いをされていらっしゃるらしい。

二人きり?誘惑?

あの場には柚葉ちゃんもいたはずなのに。

も、もしかして。あの時か?

会長がそっぽを向いて照れた時かっ!

でも誘惑なんてしていない。絶対に。


「ええと、それは誤解なんです…」

「とにかく、誤解であってもファンクラブの掟は破らないでいてくださる?」


ああ、掟。掟ねぇ…。

ゲームでもありましたよ、ありましたとも。

……覚えてないけど。


「破ってしまっていたならすみません。でも、私は別に蓮斗様を誘惑してなんか…」

「お黙りなさい!奨学金で助けられている貧乏人の癖に!」


うわぁ……驚いた。

お決まりの台詞ではないけど、怒り方がゲーム中の礼子様と瓜二つだ。

いや、礼子様より過激かな?

特に胸のあたりが…ぐすん。


私が何も言えずにいると、愛美様はくるっとターンし他のボーリング10の方々と一緒にオホオホ笑い始めた。

ああ、ムカついてきた。

誰かボール持ってきて。ストライク獲ったる。


すると、野次馬の中から見覚えのある生徒が現れた。


「ちょっと!貴女たち!」


アーーッ!

ここでまさかの姫奈様ヒロイン登場!

もしや、シナリオは変わっても結局私は当て馬…?


「その子…唯香ちゃんは私のクラスメイトなの!虐めたら許さないよ!」


はっきり言う。やめてくれ。

姫奈ちゃんに名前を覚えてもらえていたことは嬉しい。でもやめてくれ。

ボーリング10の皆様の顔がどんどん赤くなってるってば。

絶対怒ってる!


「ファンクラブ?掟?そんなの貴女達が勝手に決めたことでしょ!」

「五月蝿い。五月蝿い!

…貧乏人は引っ込んでいなさい!」


ワオッ!まさかここで来るとは。

すっかり油断していたよ。

…ん?ということは姫奈ちゃん、会長のルートに入ったってこと?


つまりこの後、囲まれた姫奈ちゃんを会長が助けに来る…?

はっ!カメラの用意をしなくちゃ。


しかし、待てど暮らせど会長はやってこない。

ファンクラブVS姫奈ちゃんの言い争いは激しくなってきているのに、先生は誰も止めに来ない。

…と思ったら隣のクラスの先生が野次馬の中に。

お嬢様の権力が怖いからってビビってたら駄目でしょ…。


すると、野次馬の中から再び誰かが現れた。

だが、それは会長では無く礼子様であった。

…ん?


「姫奈。周りをご覧なさい。少し熱くなりすぎよ。

愛美さん、私の姫奈がお騒がせして申し訳ないわ。

…でも、その目に余るような態度はいただけませんわね?」


凄い。愛美様の顔が青ざめていく。

礼子様の家柄もあるかもしれないが、礼子様自信のオーラがそうさせたのだろう。

それにしても、「私の姫奈」とは何ぞや。

後で詳しくお聞かせ願いたい。


「礼子ちゃん…。心配かけてごめんなさい。

愛美様?も申し訳ありませんっ!」

「い、いえ…。私も言いすぎてしまって申し訳ありませんわ・・・」


お、驚いた…。

ボーリング10が深々と頭を下げてから去っていった。

礼子様、すごい。さすが元ドリル様!


「唯香ちゃん、大丈夫?」

「あ、うん。助けてくれてありがとう。

礼子様もありがとうございました。」


おかげでいい写真が撮れました。

肖像権?…あーっ。


「いえいえ。気になさらないで。

もう、姫奈…貴女って子は……」

「礼子ちゃんっ…。」


あのー、止めてもらえますか?

手を取り合って見つめ合わないでもらえます?

周りもざわついてるよ!愛の形はそれぞれだけど、どうか空気を読んでくれ!


「あ、あの。お二人とも…」

「ああっ!ごめんなさい!」

「…続きは二人きりの時…ね?」


やめて、やめてくれ。

どんな顔して見ればいいんだ!

しかも一部の女子から歓声が上がってますよ?

ご退場願いますッ!


こうして、私はまた謎のフラグを踏んでしまったのであった。

愛美様、いやボーリング10に目をつけられませんように!

お気に入りありがとうございます。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ