お叱りイベント : ???
お久しぶりです。
本日はもう一、二話投稿するつもりです。
どうしよう。どうしよう。
私は今、とても困っています。
私がヒロインなら、誰か助けに来てくれるのにな。
とりあえず今の状況を説明すると、10名の女生徒達に道を阻まれております。
しかも全員、綺麗にボーリングのピンの形に並んでます。
「まさかの甘~いハーレムですか?」なんて甘い期待は全くもってしておりませんよ?
…目の前のレディの皆さんは全員、会長様のファンクラブの方々なのでございます。
でも、やはりそこに礼子様のお姿は無い。
「ねえ、ちょっと宜しいかしら?」
突然のことに私が呆然としていると、一番ピンさん(仮)が話の口を切った。
一番ピンさんは、でゆるくウェーブのかかったスカイブルーのロングヘアを横に流している。
同じくスカイブルーの瞳は垂れ気味で、口元のほくろが色っぽい。
第一印象はTHE・大人の女性って感じだ。
「私、蓮斗様のファンクラブの会長をやっている一条愛美と申します。会長とはクラスも同じですの」
愛美と真奈美。
同じ名前でもこんなに違うのね。
…なんて言ったら真奈美に怒られちゃうかな。
それにしても…誰?
こんな麗しいキャラいたかな。こんな美女を忘れるはずないんだけど。
「あ、私。一年の馬渡唯香です。」
「存じておりますわ。私達、貴女に忠告しに参りましたの」
…ん?待てよ?
この台詞はもしや、「礼子様のお叱りイベント」ではないか!?
何故か礼子様では無いけど、なんでまた私に?
「え、あの。人違いでは?」
咄嗟にそう口走ってしまった。
あ、愛美様の顔から笑顔が消えた。
「あら?私、見ておりましたのよ?
貴女が会長を生徒会室の前で誘惑していたところを!」
そう言って愛美様は私に向かって勢いよく指を指した。
…と同時に愛美様の豊満な胸がボンッと揺れた。
お願いします。少し分けてください。
…っと、愛美様はどうやら勘違いをされていらっしゃるらしい。
二人きり?誘惑?
あの場には柚葉ちゃんもいたはずなのに。
も、もしかして。あの時か?
会長がそっぽを向いて照れた時かっ!
でも誘惑なんてしていない。絶対に。
「ええと、それは誤解なんです…」
「とにかく、誤解であってもファンクラブの掟は破らないでいてくださる?」
ああ、掟。掟ねぇ…。
ゲームでもありましたよ、ありましたとも。
……覚えてないけど。
「破ってしまっていたならすみません。でも、私は別に蓮斗様を誘惑してなんか…」
「お黙りなさい!奨学金で助けられている貧乏人の癖に!」
うわぁ……驚いた。
お決まりの台詞ではないけど、怒り方がゲーム中の礼子様と瓜二つだ。
いや、礼子様より過激かな?
特に胸のあたりが…ぐすん。
私が何も言えずにいると、愛美様はくるっとターンし他のボーリング10の方々と一緒にオホオホ笑い始めた。
ああ、ムカついてきた。
誰かボール持ってきて。ストライク獲ったる。
すると、野次馬の中から見覚えのある生徒が現れた。
「ちょっと!貴女たち!」
アーーッ!
ここでまさかの姫奈様登場!
もしや、シナリオは変わっても結局私は当て馬…?
「その子…唯香ちゃんは私のクラスメイトなの!虐めたら許さないよ!」
はっきり言う。やめてくれ。
姫奈ちゃんに名前を覚えてもらえていたことは嬉しい。でもやめてくれ。
ボーリング10の皆様の顔がどんどん赤くなってるってば。
絶対怒ってる!
「ファンクラブ?掟?そんなの貴女達が勝手に決めたことでしょ!」
「五月蝿い。五月蝿い!
…貧乏人は引っ込んでいなさい!」
ワオッ!まさかここで来るとは。
すっかり油断していたよ。
…ん?ということは姫奈ちゃん、会長のルートに入ったってこと?
つまりこの後、囲まれた姫奈ちゃんを会長が助けに来る…?
はっ!カメラの用意をしなくちゃ。
しかし、待てど暮らせど会長はやってこない。
ファンクラブVS姫奈ちゃんの言い争いは激しくなってきているのに、先生は誰も止めに来ない。
…と思ったら隣のクラスの先生が野次馬の中に。
お嬢様の権力が怖いからってビビってたら駄目でしょ…。
すると、野次馬の中から再び誰かが現れた。
だが、それは会長では無く礼子様であった。
…ん?
「姫奈。周りをご覧なさい。少し熱くなりすぎよ。
愛美さん、私の姫奈がお騒がせして申し訳ないわ。
…でも、その目に余るような態度はいただけませんわね?」
凄い。愛美様の顔が青ざめていく。
礼子様の家柄もあるかもしれないが、礼子様自信のオーラがそうさせたのだろう。
それにしても、「私の姫奈」とは何ぞや。
後で詳しくお聞かせ願いたい。
「礼子ちゃん…。心配かけてごめんなさい。
愛美様?も申し訳ありませんっ!」
「い、いえ…。私も言いすぎてしまって申し訳ありませんわ・・・」
お、驚いた…。
ボーリング10が深々と頭を下げてから去っていった。
礼子様、すごい。さすが元ドリル様!
「唯香ちゃん、大丈夫?」
「あ、うん。助けてくれてありがとう。
礼子様もありがとうございました。」
おかげでいい写真が撮れました。
肖像権?…あーっ。
「いえいえ。気になさらないで。
もう、姫奈…貴女って子は……」
「礼子ちゃんっ…。」
あのー、止めてもらえますか?
手を取り合って見つめ合わないでもらえます?
周りもざわついてるよ!愛の形はそれぞれだけど、どうか空気を読んでくれ!
「あ、あの。お二人とも…」
「ああっ!ごめんなさい!」
「…続きは二人きりの時…ね?」
やめて、やめてくれ。
どんな顔して見ればいいんだ!
しかも一部の女子から歓声が上がってますよ?
ご退場願いますッ!
こうして、私はまた謎のフラグを踏んでしまったのであった。
愛美様、いやボーリング10に目をつけられませんように!
お気に入りありがとうございます。




