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緑の少女(要視点)



2日連続で更新できました!

今回はチャラ男視点です。




学校なんてつまらない。

ずっとそう思っていたし、これからもそうだろうと思っていた。


声をかければ素直に着いてくるし、優しく笑かければすぐに落ちる。

いつもキャーキャー五月蝿いし、互いのライバル意識が高すぎる。

それが俺にとっての「女」だった。

そう、あの日まで。


入学式。

俺にとっては暇でしか無い日。

まあ、新しく可愛い子を見つけられるのは有難いけど、黙って座ってるのはどうも性に合わない。

だから今日も、面倒くさいファンクラブの奴らから身を隠すために桜の木の上でまどろんでいた。


しばらく花の香りを嗅いでいると眠たくなってきて、いつの間にか俺は浅い眠りについていた。

だが、すぐに誰かの足音で目が覚めた。


桜の上から覗けば、そこには緑色の長い髪を一つに縛った女の子が息を切らせて立っていた。

何か一人でぶつぶつ言っていたが、構わず俺は話しかけた。


「初めまして。新入生の子かな?」


いつもの人当たりの良い笑顔だったはずなのに、何故かその子は俺を見て凄く嫌そうな顔をした。

潤んだ瞳で見つめられるのがいつものことだったから少し驚いたが、俺はムキになって続けた。


「何を慌ててるの?答えてくれないと…食べちゃうよ?」


少女に覆いかぶさるような形で告げた。

さすがにこれにはなびくだろう。

そう思っていたのに、少女の反応は酷い物だった。


「……ぶっ。」


全く信じられなかった。

俺を見てそんな反応をする奴なんて今までいなかったから。

更に彼女は得意げな顔で俺に追い打ちをかけた。


「同級生のわたくしの顔を忘れるなんて失礼ね、柳沢君。ではごきげんよう!」


…あり得ない。

まず、俺が同級生の女の子を覚えていないはずが無いのに。

令嬢らしからぬ全速力。

腰まである深緑の長い髪。

優しそうな顔立ちに似合わない台詞。


面白い。

もっと知りたい。

心からそう思ったのに、彼女の名前も知らないままだった。



--------------------



一週間程緑の髪の少女についての情報を探し回ったが、二年生や三年生ではないらしい。


なかなか遭遇しないものだから色々考えた結果、俺はまた桜の木のある裏庭に行ってみることにした。

「もしかしたらあの時は恥ずかしかっただけで、また俺に会いに来ているんじゃないか?」なんて、淡い期待を胸に秘めながら。


裏庭に着くと、桜の木の下に彼女を見つけた。

やっぱりな、なんてほくそ笑んだのは一瞬で、少女の側には生徒会長が立っていた。

しかも、あろうことか少女に迫って行っているではないか。


俺は助けに行こうと駆け出したが、少女が顔を赤らめて慌てていたのを見て居た堪れなくなってしまった。


「…どうして、他のやつなんだ」


無意識にそう呟いていた。

ああ。あいつと全く同じじゃないか。

気づけば頬を冷たい雫が伝っていた。


ふと顔をあげれば少女が真っ赤な顔で歩いて来ていた。

「…俺はいつも通りの笑顔で話しかけよう。」

そう呟いた俺は涙を拭い、俺に気づかない彼女に突進して行った。


「ねえ!入学式の時の君だよね?」


そう言って優しく笑ったが、彼女はまた嫌そうな顔で否定しその場を離れようとした。

俺は咄嗟に彼女の両腕を掴んで引き止めてしまった。


「その素っ気ない態度はやっぱり君だね!会いたかったよ〜!」


他の女ならそう伝えれば頬を染めるのに、彼女からの返事はきつかった。


「あら、柳沢先輩!カッコいいです!ではご機嫌よう!」


真顔でそんなこと言われたって嬉しく無い。

だが、彼女が去った後、俺は生徒手帳が落ちていることに気づいた。


「馬渡…唯香ちゃんって言うんだね」


そう知った途端ににやけが止まらなくなって、俺は口元を手で隠しながら一人で笑った。

しかし、その中に挟まっているものを見て、俺は目を疑った。


「ん?何か中に挟まってる。

これ…唯香ちゃん…と柿谷先生…?」


写真の中には、仲良さげに柿谷先生と寄り添って笑う唯香ちゃんがいた。

二人の服装から、それが初詣であることが分かった。

…唯香ちゃんは着物姿で少し色気があった。


「へえ。あの二人、そんな仲なんだねぇ。」


その写真を見て嫉妬した瞬間、俺は唯香ちゃんに引き込まれて行く自分を感じた。


「俺はものすごく面白いのに出会ったね。

…しかも一筋縄ではいかないらしい」


馬渡唯香。

俺は必ず君を手に入れるよ。




お気に入りありがとうございます!


本日はもう少し投稿できるよう頑張ります。




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