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会長の苦手な物


本日二話目となっております。

休日は頑張って更新させていただきます。



高校生になって早くも一週間が過ぎた。

…が、姫奈ちゃんと攻略キャラには進展が見られない。

それはやっぱり私の所為なのかもしれない。


でも、ゲームと現実だから違いはあると百歩譲ってみたとしても、おかしな部分は多数ある。


まず一つ目。

ヒロインのサポートキャラであるはずの柚葉ちゃんと姫奈ちゃんの接点が無い。

グループっていつの間にか出来ているものだから乗り遅れたのかとも思ったけど、昼休み姫奈ちゃんはいつも何処かに出かけている。

帰ってくるといつもニヤニヤしているし、誰かと逢瀬を重ねてるのかな…?


次に二つ目。

女嫌いの会長の周りを、ゲームでは見守るのが殆どだった取り巻きのお嬢様達がうようよしている。

そして、ゲームではヒロインだけ会長に特別視されるのを妬んで姫奈ちゃんを虐めていたはずの悪役令嬢、白鳥礼子しらとりれいこ様がいない。

入学から目立った行動を繰り返す姫奈ちゃんが一週間経っても礼子様のお叱りイベントに遭遇しないのは、肝心のライバルキャラが不在だからであろう。

礼子様のおかげで会長ファンクラブがまとまっていた部分もあったのに、それが何故かいないとなると…うーん。

そもそも礼子さんは何処へ?


そして三つ目。

普通なら攻略キャラの好感度を上げる行動をするはずのヒロイン姫奈ちゃんが、明らかに出会いイベントをスルーしている。

でも、隠しキャラ出現条件とかで好感度の要求もあったりするからそれかもしれない。


会長との出会いイベントについてはちゃんとこなしていたみたいだけど、会長のあの顔の歪みはどうもおかしい。

でもそんな表情も素敵だと思わせてしまう会長は罪な男なのである。ふふふ。


姫奈ちゃんはやっぱり転生者なのかな?

そうだと仮定すれば、会長との出会いイベントの時の姫奈ちゃんの謎のゲス顔はあれだと思う。

姫奈ちゃんの推しキャラが私と同じく会長で、出会いイベントに興奮し過ぎたんだ!

で、目の前の少女の不気味な笑みに困惑した会長は顔を歪めた。

そうよ!多分間違い無いっ!


つまり、私と姫奈ちゃんは同志という訳だ!

よし。お近づきになりましょう!


私は毎日のように何処かに出かけて行く姫奈ちゃんの後を追った。



--------------------



「はぁ…はぁ…ひめ、姫奈ちゃん…どこ…」


頑張ってついて行ったのに、曲がり角を過ぎたあたりで見失ってしまった。

まさか、私より足が速かったなんて…。


私は「はあー…」とため息をついて窓の外に広がる中庭に目をやった。

そこには姫奈ちゃんと、設定的におかしな人物が仲良さげに肩を並べてお弁当を広げていた。


「れ…礼子様!?」


礼子様は白鳥証券の一人娘。

ゲーム内では、会長との婚約を目指して日々ヒロイン退治に勤しんでいた。

ハニーブロンドの長い髪は毎日ドリルのように巻かれていた。

夢恋ファンの中では『ドリル様』って呼ばれていたんだよね。

私、めげない礼子様が大好きだったのに…。


…でも。

姫奈ちゃんと仲良くご飯を食べる礼子様の髪はドリルでもロングでもないボブヘアだった。

私はあまりの衝撃に固まってしまった。

まず、最初見たとき誰かわからなかった。

「貧乏人は引っ込んでいなさい!」が口癖だったあの日の礼子様は何処へやら。

カムバーック!ドリル様ー!


ショックで項垂れていると、後ろから聞き慣れた麗しい声がした。


「こんな所で何をしているのですか」


うおおおおおお!

私の大好きだった声優さんの声、そのまんまですやんっ!

私は興奮しつつも振り返った。


「れ、蓮斗様。」


どうしよう、思わず口角が上がってしまう。

いかんいかん。


「君は何を見ているのですか」


…貴方です。

なんて言ってみたいよ!ひゃっふー!


「あの方々を!ほら!」


私がちょっと窓から身を乗り出して二人を指差すと、会長は眉を顰めた。

あ、指差しは淑女らしからぬ行動だよね…。


しかし、返ってきたのは鞭ではなく飴だった。


「そんなに乗り出したら落ちてしまいますよ」


なんだ、なんだこのシチュエーション!

会長の大きくて綺麗な手が、私の腰に当てられている。

あ、そうか。夢なのか!

そう思って頬をつねると、地味に痛かった。


「はっ!申し訳ございませんっ!」


顔の火照りを感じたが、私は素早く窓際から飛び退き深々と頭を下げた。

会長はボディータッチが一番苦手だったはず。

それなのに私は先輩の手を煩わせてしまった。


私は覚悟を決めてスカートの裾を持ち上げた。

何をするかって?

もちろんスライディング土下座ですけども?


しかし会長は貼り付けたような笑顔で「大丈夫ですよ」と言うと、私の手を取った。


「生徒の安全を守ることが僕の指名でもあるのです。どうぞお気になさらずに。」


ああ、会長はゲームと変わらず作り笑いが上手なのね。

あの頃の私は、この感情の無い笑顔も「綺麗」だと思っていた。

でも、彼の過去や本心を知っている今の私にとっては悲しいものでしかない。


「蓮斗様、本当は女性が苦手なんですよね。

あ、ですから…無理に気を遣っていただかなくても大丈夫です!」


嘘です。

本当は気を遣って欲しいです!

まだ手の温もりを感じていたかった…むふ。


でも会長、安心してください。

あなたの女性嫌いを治してくれるヒロインが中庭にいるのですぞ。

悔しいけど、姫奈ちゃんと会長…お似合いだもんね!


「それでは…私は失礼します…。

ひ、ひ、姫奈ちゃんとお幸せにぃぃ…」


私は泣きながら駆け出した。

駆け出した。

駆け出し…ん?

ふと自分の腕を見れば、会長にがしっと掴まれていた。

会長〜、私の話聞いてました?


「俺が…女嫌いなこと。誰から聞いたんだ?」


うぉ。

か、会長。一人称と口調が変わってますよ。


「え、ファンクラブの方に」


私は咄嗟に嘘をついてしまった。

だって前世の記憶とか言ったら引かれちゃうもん!電波じゃ無いのよ!

そして、言い終わると同時にまた駆け出した。

黙って泣かせてくれ!




話がグダグダになってきました…

読みにくかったらすみません。



9/6

内容を変更致しました。

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