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吉村翔太という男  作者: 椎名 園学


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吉村翔太という男

私の趣味で始めたものですので、バリバリ不定期投稿です。

三日に一回、夜九時ごろを目安にして気長に待っていただければ幸いです

私がこの男と出会ったのは大学3年生の夏休みに入る直前、隙間バイトアプリで面白い掲載があったからです。

「秘書募集。勤務時間、私が起きてから寝るまで。日当2万円(就寝時間が遅くなり最低賃金を割りそうになれば3万円)。仕事内容 私の世話。社会経験がある方が欲しいです。ただし、高校を卒業し、関関同立以上の学歴を持っている方に限る(面接時学生を確認します)詳しくは下記に記載されている電話番号におかけください」

最初見たとき、いわゆる闇バイトだと私は思いました。勤務内が「猫を探す」のような曖昧で、勤務時間も曖昧かつ報酬が異様に高い。マニュアル通りに作られたようなもので、小学生でもこんなものに引っかかる人はいないと鼻で笑い、キャラメル色に輝くウイスキーをごくりと飲みました。

けど、逆にやってみたら面白いんじゃないかというのが、大学生特有の謎の自信に煽られてか、湧いてきたのです。何かあったら警察に駆け込めば何とかなる。いや見返してみたら、日当二万円は闇バイトにしては安いかもしれな、ただ単にこういうところに掲載したのが初めてで、内容を細かく書いていないだけなんじゃないか、そう思えばどんどんやってみたくなります

そして再びウイスキーを飲むと、青く強調された電話番号を押しました。

「はい、もしもし」

すぐにつながった電話から聞こえて声は随分若い声でした

「あ、もしもしアプリで求人みて応募しようと思ったんですけど」

「あーはい、そうでしたか、なら今月の昼で時間大丈夫な日ありますか?」

「はい、今月中でしたらいつでも大丈夫ですよ」

「でしたら、早速になりますけど明日の昼1時は大丈夫ですか?」

「はい」

「では明日の昼一時に京都駅内にある「喫茶キャラミアータ」にお願いします」

「わかりました失礼します」

とても品のある女性の声でした。女性の秘書をするのかと思うと、彼女ができたことのなかった私の胸にときめきが出てきます。声で勝手に作った人物像は、先祖代々率い継がれてきたシャンデリアが煌めく純白の邸宅の中、お天道様の暖かさで目が覚め、愛犬との戯れを交えつつ食事をとり、フカフカのベットで眠る欧州人でした。酒が回っているせいもありまして、正直に言って声だけでもう好きになりかけていたのはありました。

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