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エピソードタイトル 『北川古書店』【14】文学賞と未来の夢

いよいよ第一部の最終話です。

雅人と綾乃は、互いに支え合いながら成長し、人生の伴侶として新たな一歩を踏み出します。

登場人物たちの喜びが、読者の皆さまにも届きますように。


『北川古書店』【14】文学賞と未来の夢

『松江の霧』は雑誌『新雪』に掲載され、反響も良かった。

綾乃が次の原稿『夕陽の彼方』を見て編集部に持ち込むと、評価は上々だった。

「雅人は才能がある。綾乃はもう書けないな」

「そんなこと言わないで、二人で頑張ろうよ」

それから一か月後。

ある日、綾乃が息を切らしながら古書店の扉を開けて叫んだ。

「雅人、新人賞が決まったよー!」

二人は手を取り合って飛び跳ねた。

「おめでとう!」

「おめでとう!」

和美は急いで北川商店に戻り、

「お母さん、雅人先生が賞を取ったって!」

母・紀子は店先に大きく、

《祝 北川先生 文学新人賞受賞》

と書かれた紙を張り出した。

それは商店街に広まり、まるでお祭りのようになった。

その頃、山口夫人はホームで音楽を聴きながら、窓の外を眺めていた。

若い頃に聴いた旋律が、胸を締めつけた。

綾乃さんから電話が入った。

「雅人さんが新人賞を取りました」

「おめでとうございます。一番うれしい知らせです」と返事をした。

『新雪』に掲載された作品を読み、心が温まった。

山口夫人の希望が、少しずつ蘇ってきた。

「ありがとう」と心からつぶやいた。

勇叔父さんからも電話が来た。

「おめでとう。松本から見守っているよ」

綾乃は胸にあふれる想いを抑えきれずにいた。

一葉日記を求めて訪れた古書店での出会いが、まさかこんな未来に繋がるとは——。

「この喜びを、早く両親に伝えたい」

「一緒に行こうよ。結婚の決意も伝えたい。僕の両親にも会ってほしい」

ふたりは古書店を出て、看板を見上げた。

何度も見てきたその文字が、今は特別に愛おしく思えた。

腕を組み、未来への一歩を踏み出した。

『北川古書店』〜手のひらに灯す光〜「第一部完結」


第一部『北川古書店 〜手のひらに灯す光〜』を最後までお読みいただき、誠にありがとうございました。

これからの綾乃と雅人、そして山口夫人との関わりがどのように展開していくのか——

第二部もどうぞご期待ください。


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