ログ003-03-2-1|思考構造/《時計という罠》
《時計という罠》
【概要】
これは「時間」の話じゃない。
「時計」の話だ。
時間は抽象だけど、時計は支配の道具だ。
……俺が何を言ってるか、もうわかるだろ。
---
時間そのものに、魔法なんてないってことは、
とっくに知ってるはずだ。
時間が俺を苦しめるわけじゃない。
時間が俺を焦らせるわけじゃない。
時間が「やれ」と命令してくるわけでもない。
命令してくるのは、「時計」だ。
「午前7時だぞ」
「午後3時だ」
「もう夜10時なのに、まだ終わってないのか?」
ただの時間の読み上げに見えて、
その裏にはでかい価値判断が隠れてる。
7時には起きるべき。
10時までには終わらせるべき。
毎日決まった時間に生産すべき。
「規則正しく」あるべき。
---
……誰がそう決めた?
時間は本来、流れていて、自由で、自然なもんだ。
時計は、それを閉じ込めるために作られた。
俺たちは「時間を管理してる」つもりで、
実は、「時間制度に管理されてる」。
---
昔の農業社会は、太陽の動きを見て生活してた。
でも、産業革命で「時計」が登場し、
「目覚まし」「タイムカード」「カレンダー」「時間管理アプリ」へと進化していく。
共通してるのはひとつ:
全部、「規律の道具」だ。
生活を「組織化するため」に設計された、
支配システムの機械だ。
時間を「管理」してるんじゃない。
機械に合わせてるだけ。
資本に合わせてるだけ。
社会システムに合わせてるだけ。
---
俺は「規則正しく生きるのは悪い」と言いたいんじゃない。
お前もそれはわかってる。
俺が言いたいのは:
「時計は中立だ」っていう思い込みを、
俺たちはあまりにも早く飲み込んでしまったってこと。
毎日何時に起きて、何時に寝て、何時に仕事するか。
そのテンポを「正義」だと思い始めた時から、
俺たちは自分を疑い始めた。
「また先延ばしした……」
「もっと頑張るべきだった……」
「なんで俺はちゃんとできないんだ……」
違うだろ。
お前が悪いんじゃない。
長年そのシステムを飲まされてきただけなんだよ。
---
お前は知ってる。
「小説家になろう」に投稿した作品には「アクセス解析」って欄がある。
こう書かれてる:
今日のアクセス数:3
総アクセス数:17
ブックマーク:0
評価:0
「気にしてないよ」って毎回言ってるくせに、
1時間ごとにリロードしてるだろ。
これも「時計」だ。
ただ、あのアナログの針じゃないだけ。
もう一つの「数字の時計」だ。
お前は「今何時?」が知りたいんじゃない。
「今、どれくらい見られてるか」が知りたいんだ。
「自分は成長してるのか?」
「時間を無駄にしてないか?」
それを数字で知ろうとしてる。
つまりこれは、
「◯時◯分」じゃなく、
「今日何人が俺を見たか」「何位か」っていう
新しい「時間感覚の支配」なんだ。
---
だから俺は「時計」って言葉を使ってる。
抽象的な「時間哲学」を語りたいわけじゃない。
「時間制度」ってシステムを壊したいんだ。
だって、
時計は、制度化された時間の機械。
時計は、自由だった流れを言語で区切った証拠。
時計は、お前が毎日「やらなきゃ」って言い出す、その鞭だ。
痛みを与えてるのは、「時間」じゃない。
お前を縛ってるのは、「時計」だ。