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転生した侯爵令嬢の奮闘〜前世の記憶を生かして研究開発したら溺愛されました〜  作者: みずのあんこ


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 定期報告会当日。 私はベラル教授と共に王宮に来ていた。数日前にあった研究者試験には見事合格。 作ったものは自家製ポット・スチル。 自家製と言っても、この世界では初になるから、自家製であって自家製ではない感じだが。

 直接的に国に貢献できるものではないので賭けだったが、通って本当に良かった。 審査員にお酒好きでもいたのかな?



 当たり前だが、ポット・スチルの完成にはベラル教授の力が必要。 私の試験の実施に出す物を聞いて、ベラル教授は当然断った。だが、私が試験に合格しないと困るのはベラル教授とて同じ。 書類は私がほぼまとめたので、どこにどの書類がどの順番であるのか把握しているのは私。 『…悪知恵の働くやつだ』と舌打ちをされたが、否定しないでおく。


 お互いWin-Winなのだから良いではないか。 彼女は報告会まで資格保有者を持った助手が欲しい。私はポット・スチルが欲しい。



 最終的に彼女は折れた。 ふふふふふ、正直助かった。 思いついた時には自画自賛が止まらなかったくらいにはギリギリの日程だったのだ。


 教授には内側から熱を出せる装置をお願いしていたが、お互いが接触すると熱が発生する宝石(いし)なんて便利なものがあった。 あくまで彼女の研究物なので定期的な報告書は必要だが、それくらいなら事業報告書と一緒に出して貰えば良いので、大したことはないだろう。

 ポット・スチルはすでに父と兄がいる婚約者(デビ)の領地に送っている。美味しいお酒ができるといいな。





 王宮では、まず控室に通された。 報告書はすでにお役所仕事な担当者から許可の判を押され手元にある。

あとは、順番を待って、宝石(いし)と報告書を王族に見せればOK。呼ばれるまでは自由な時間だ。


 メイドが入れてくれた紅茶が香り高い。 さすが王宮のお茶。 自分の目的はすでに達成されて、忙しさからももうすぐ解放される喜びで余計に美味しく感じる。 それを噛み締めるように、顔いっぱいに至福を表していると「………君は、嫌がらないんだな」と、紅茶に手もつけていないベラル教授に言われた。

  何に対しての言葉かわからず、思いっきりはてなマークが浮かんだ顔をする。

 すると珍しく「あ…いや…」と戸惑ったように慌てた後「…今回は、助かった…」と労われた。 ホワイティ家はすごいな、と。


 数年前、兄に出した2ヶ月の期間も賭けだったらしいが、今回、それよりも短く、記録更新したらすごいな、くらいの軽い思いつきだったし、他にも条件を出したから、正直無理だと思っていた…と。


 ある意味、彼女の中の記録更新のためにやらされたのか? もはや呆れを通り越して諦めの境地。私は、条件の他に()()()の作業も進めたのだから、今回は本当に自分を自分で思いっきり褒めてやりたい。


 そんなことを考えていたら、ドアのノック音が部屋に響いた。順番がきたようだ。まとめた資料を持って、私達は部屋を出た。





 報告会はつつがなく終わった。

 王族代表でいたのは、先日発表された王太子。陛下の仕事を少しずつ移行しているようだ。 この国はまだまだ安泰なようで良かった。 報告が終わった後、そんな王太子に「そうか、君がホワイティ令嬢か。穀物でお酒を作れるものを開発して、研究者になったらしいな」と声をかけられた。

 あ、なるほど。あれは新しい穀物の使い方、ということで通ったのか。 お礼を言うと「これからも精進してくれ」と王族らしい言葉をもらい、従者によって扉を閉められた。

 あぁ、今回は本当に頑張った。家に帰ったら思いっきり自分を甘やかそう。



ベラル教授に言われた条件を処理しながらやった、()()()の作業は、ふたつ。


 ひとつは部屋の片付けの際の工夫。

 前世で「よく使うものはワンアクションで取れるようにする。3日に一回のものはツーアクション。それ以上はスリーアクション。」と聞いたことがあった。

 でもツーアクションとかスリーアクションとかにしたらきっと彼女は片付けない。 引き出しとか埃まみれになるのが目に見える。 だから、全てワンアクションで取れるようにした。ワンアクションで取れる、ということは、ワンアクションで片付けられる、ということだ。その辺に置いてしまう癖のある人間は、その辺に置く、を『その場所』に置くという導線にしてあげればいいのだ。

 常に意識するのはワンアクション。ペンはペン立て、ハサミはハサミ立ての様に分ける。 そして、それぞれ誰でも見てすぐ分かるように【ペン】【ハサミ】と書かれたラベルを付ける。 おかげで作業ができるスペースが出来上がった。


 もうひとつは、元々開発済みだった映像+温度のカメラをプレゼントした。 夜中に宝石(いし)を記録しておけるだろうと思って。

 これは、彼女はかなり喜んでいた。『夜中ゆっくり眠れる〜!』と。

 今までなぜ思いつかなかったのか、という方が個人的には疑問だ。


 でもこれらは『頼まれた』以上のもの。

『…これは()()ですからね…?』としっかり念を押させてもらった。




 かくして、私の嵐のような1ヶ月は終わった。まずはひと段落だ。 久しぶりのやり切った感と心地よい疲れに自然と頬が緩む。 久しぶりにゆっくり眠れそうだ。








 数日後、お酒は無事にできたことを告げる手紙が届いた。半分は熟成させて、半分を買い上げたらしい。 しかも6-7割引で。 う〜ん、さすがだ。


 あとはどのように売り出すか。 前世だったら、SNSを使ったり、タレントやインフルエンサーを起用してCMを打ったりしたが、残念ながらこの世界にはそんな便利なものはない。 口コミで広めるしかないのだ。

 さて、今回はどこから広めるか…。 前回は、化粧水だったから一番反応がいい社交界からにした。じゃあ、お酒は…?


 やっぱり、飲む場所からだろうか…。


ここまで読んでいただき、本っ当にありがとうございます(♡ᴗ͈ˬᴗ͈)⁾⁾⁾

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