表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
転生した侯爵令嬢の奮闘〜前世の記憶を生かして研究開発したら溺愛されました〜  作者: みずのあんこ


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

14/32

14


「またやってるのか」


 作業をしている後ろから、急に声をかけられる。ため息混じりに聞こえた声は、いつものことだ。


「ああ、デビ、来てたのね」


 デビはノックをしない。私が音に気づかないことが多いから『意味がないだろう?』と言っていた。そんな会話をしてからは、繊細な作業が必要になる発明品(もの)は、デビが帰った夕食以降に作るようになった。びっくりして手元が狂ったら、どうなるかわからないものは特に。



「ごめんね、もうすぐ終わるから、よければ先に行ってて」


「…わかった」


 デビには、案内の侍女と一緒にお茶が用意してあるガゼボへ行ってもらう。『他の婚約者だったらとっくに破棄しているぞ』とデビに言われたのは、随分前だ。本来、婚約者が来る時間に合わせて出迎えて、私が自ら案内しなければいけないのだから、そう言われても仕方がないのかもしれないけど。でも今やっている研究も佳境なのだ。




「お待たせ」


 ガゼボに行くと、デビは侍女と楽しそうに話をしている。案内をお願いした侍女だ。私に気づくと頭を下げ、私の分のお茶を入れると、離れていった。


「…なんの話をしてたの?」


 お茶で喉を潤した後に聞く。すると、


「別に」


 と返ってきた。


 出た、デビのテンプレ返事。

最近のデビの返事は『別に』『そうか』『だから?』が多い。

その言葉を言われると、少し悲しくなってしまう。言外に『お前には関係ないだろ?』と言われているみたいで。



 昔、私の言葉にキラキラさせていた瞳はもう無い。あの庭で、日の光を浴びながら、綺麗だった翠眼の男の子。

目の前にいるはずなのに、あの子に会いたいと思う、この気持ちの消化ができずにいる。


 会ってなかった数年のうちに、記憶が無くなるようなことでもあったのかと思い、事故で頭を打ったことはないかとか、大きな病気を患ったことはないかとか聞いてみたが、そんなことはなかったと言われた。あまりに聞きすぎて「しつこいっ!ないものはない!」と怒られた。

 私のように、前世を思い出して『なんだ、あんなの大したことないじゃないか』ってバレて嫌われたのかと疑ったが、そういうわけでもないらしい。

 ただ単に私への興味がない? 興味があったのは研究だけで。でも、それも当時の話で。

 今は、そんなつもりじゃなかったのに周りの大人に促されて、無理やり婚約させられて嫌になっちゃった、とか?

 あれこれ考えてたらもっと悲しくなってきてしまった…。



 そんな私の心情も置いてきぼりに、デビは来月から通う予定の王都学園の話をしている。3歳上の従兄弟が通っていること。授業にその従姉妹がついていけてないらしいこと。選考の担当先生によってはかなり厳しいこと。そして入学式のこと。



「デビ、入学式は一緒に行ける?」

「ああ、迎えに来るから支度を終わらせておけよ」

「わかった」





 私達が通うのは王都学園。その名の通り、王都の中心地にある王立の学園だ。12歳から18歳まで通うことができ、試験にさえ受かれば平民でも通うことが許されている。費用も高くはなく、成績上位者は免除もあるので平民が成り上がれる数少ない方法のひとつだ。

 貴族は子どもの頃から家庭教師をつけることが多いため、15歳に入学させる家が大半だ。学ばせたいというより人脈を繋げる意味合いの方が大きいのだろう。

 学園では学力や技術力でクラス分けをされていて、クラスは主に3つ。入学式後に発表される。



 キングクラス。

主席含めた成績の良かった者が入る。さらにキングクラスの成績上位者は、騎士なら近衛見習いへの推薦、文系なら宰相や大臣のそば付きへの推薦がもらえる。そのまま頑張れば役職に就けるから将来有望株間違いなしだ。その代わりカリキュラムはかなり厳しい。毎年、生徒がゾンビのようになったとか、気が狂う人が出たとか、最高学年にもなるともはやロボットみたいだとか、そんな恐ろしい噂が実しやかに囁かれている。個人的には絶対に近寄りたくないクラス。

 クィーンクラス。

騎士は近衛は無理でも軍に入れる可能性が高く、文系も城勤めに進む人が多いクラス。だが推薦ではなく、あくまで試験への参加資格があるというだけ。逆に言えば成績がそこまで振るわなくても試験に受かればOKなので、勉強以外も楽しみたい人や、まだ婚約者がおらず学園で探そうと思ってる人等はクィーンに入りたがる。またクィーン限定専攻で経営学もあるので商会関係等もいる。

 クロースクラス。

専攻専門クラス。大きく分けると、医学、経済学、芸術学に分かれているが、それぞれでさらに細かく分かれていて多岐にわたる。親が個人商店を始めて将来引き継ぐ予定の人、音楽、絵画が得意な人、町医者になりたい人、薬の研究がしたい人、等々々。仕事によっては貴族に呼べれることもあるので礼儀作法も習う。


 そしてもうひとつ、特別クラスがある。

その名も『スペシャルクラス』。

選考理由不明、カリキュラム不明、所属している人も不明。ただ『ある」らしい、というクラス。何をしているのか、どうしてあるのかも不明。わかるのは学園長によって勧められているということだけ。でもそれすら本当かどうかわからない。もしかしたら秘匿されるような王族関係者が通うためのものなのでは…?なんて言われている。

 まあ、私には関係のない話だ。






 入学式はもうすぐ。

新しい日常と久し振りな学生生活にワクワクが隠しきれず、笑いが溢れた。



ここまで読んでいただき、本っ当にありがとうございます(♡ᴗ͈ˬᴗ͈)⁾⁾⁾

少しでも面白い、また続きが気になるなぁ、と思って頂けましたら、ブックマークや下の★★★★★で応援していただけると、大変執筆の励みになります。


投稿したらポストしています。

よければフォローお願いします。

https://x.com/mizunoanko000?s=21&t=eAiLfjibkiIfxwWXg9stjg

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ