表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
7/111

6.この世界①

2週間があっという間に過ぎた。


今、私は豪華な机に向かい、文字の練習として日記…と言うか、頭の中を整理するために色々書き出している。


この世界も1週間という概念があって、四季のようなものがある。

7つの魔素…属性が一周して1週間。

7週間で1か月。7か月で1年。

1日は21時間。

こちらも7つの属性が朝昼晩と一回ずつ回って1日。


魔法属性は、光、火、水、木、金、土、闇の7つ。

光は春の芽吹き、火が暑い夏、雨の季節の水、実りの秋の木、嵐が続く金、雪が降り続く土、日照時間が短く極寒の闇。そして光の季節へと巡るらしい。


今は光の季節。庭には花が咲き、暖かさを感じられる。


本当はもっと早く整理したかったけど、子どもの活動時間は限られる。

子どもの身体は夜更かし出来ないし、早く進みたくても足が短い。背が低いから物が取れない。ペンを持っても真っ直ぐ線が引けない、細かな作業がしたくても指の動きがおぼつかない。

今書いている文字もガタガタ。

誰かに読まれるのを避けるために日本語で書いているけど、この世界の文字で書いたとしてもきっと読めない。


……仕方ないけど、何をするにも人の助けが必要で、このノートとペンを準備するのに2週間もかかってしまったのだ。


「はぁ、先が思いやられる」


家族には若干怪しまれつつも、公爵家の次女『アリステア』として過ごせている。


そもそも、この家の問題は『アリステア』だけで、メイドや仕える騎士達も良い人達ばかりなのだ。

もちろん、1週間くらいは必要最低限の接触だったけれど、こちらからニコニコとしながら近づき、丁寧な言葉で話せば、あっという間に優しく積極的にサポートしてくれるようになった。


ヒルデは公爵家の筆頭メイド長だったが、前の『アリステア』と渡り合えるのがヒルデだけだったので、ずっと私専属の様な状態だったらしい。

『私』は手がかからないと分かると、私専属のメイドを2人新しく紹介された。


麦わら色のおさげ髪をした元気なリナ。

水色の髪を肩辺りで切り揃えた、控えめなルーリー。

2人とも16歳。

よく気がついて、何かと先回りして対応してくれるので心強い。

私としてはヒルデの方が精神年齢が近いから側にいて欲しかったが、周りからしたら、歳の近い子達の方が良いと判断されたのだろう。方向性は違うけれど、2人が楽しそうに話している姿は癒される。


イデュール兄さまとサラお姉さまとは、ほとんど会っていない。

2人とも成人しているので、お勤めがあるらしい。

この国の成人は16歳。

成人すると各々の領地や、地位に合わせて仕事をするらしい。

まぁ、仕事と言っても8時間みっちりという様な事はない。必要なときに必要な仕事をする。

休暇もたっぷり。なんてホワイト。

でも…国の中枢である公爵家の運用は大変だろう、お父さま、イデュール兄さまとサラ姉さまは、早い時間に家を出て、帰ってくるのも遅い。6歳児の私とは生活リズムが違い過ぎるのだ。


私はというと、朝起きるとお母さまとゆっくり朝食を食べ、お庭をメイド達とお散歩、昼を食べて、お昼寝、またメイド達とお散歩して、夕食を食べて、寝る準備をしている最中に眠気がくる…


食べて、散歩して寝る…

まだ、療養中という事らしいが、何も言わなければ、一生このままな気がする。


『アリステア』の記憶はあんまり役に立つ記憶はない。何故なら、人の嫌がる事を考える事で頭がいっぱいだったのだ。

1つの身体に2つの魂による歪みと言うより、根っからの悪役気質だったのではないかと思う。


知りたい事が記憶にないなら、少しずつ学ぶしかない。

この世界、この国、文化、歴史、習慣、生き物、魔法…知らない事だらけなのだ。

特に魔法は楽しみだ。

AIや自動化が進んだ世界の記憶があるとは言え、原理が全く違うであろう魔法にはロマンしかない。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ