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45.誕生パーティー①

「アリステアお嬢様、言葉に表せないほど美しいです!!」

「あはは・・・ありがとう、リナ」


「お嬢様、何か気になることがありますか?」

「ううん・・・なんでもないよ。ルーリー。ただ・・・豪華な仕上がりでビックリしてる」


「7歳のお誕生パーティーですから、このくらい当然です」


毎年行われる誕生パーティーの中でも、重要なパーティーがある。


『この世界』は7種の属性を基準にしているためか、7年目である7歳の誕生を盛大に祝う習慣があるという。

貴族はさらに婚約者を決めることができるようになる。


次は10歳のパーティー。

体内の保有魔素が安定し、レベルが確定する。

午前中に洗礼式を行い、午後にパーティーを行うのが通常の流れだそうだ。


そして、身体の成長が安定する13歳と、成人になる16歳。

貴族は13歳になる年の光の季節から学園に行くことになるため、13歳のパーティーは行わないこともある。

その分10歳と16歳のパーティーが豪華になるらしい。



しかし、まぁ・・・本当にきれいね・・・私。

さっぱり実感ないけど。

それでも鏡に映る姿は、私と同じ動きをするので、自分と認識するしかない。


金糸のような髪は複雑に結い上げられ、金色の大きなリボンがつけられている。

お父さまがプレゼントとして用意してくれたものだ。

もちろん普通のリボンではない。


リボンには複雑な刺繍と細かな魔法石がたくさん縫い付けられており、それらの1つ1つに保護魔法が施されている。

これを身に着けているだけで、町が消し飛ぶ魔法を受けても無傷らしい。


・・・価値は国宝級・・・恐ろしすぎる。


ネックレスはお母さまがくださった。

小粒だが上質のダイヤでできているが、ただのダイヤではない。

いや、ただのダイヤもすごいんだけれども、そのダイヤを魔法石として加工してあるらしい。

お母さまの光魔法が施されていて、攻撃魔法を反射し、傷をうけたとしても自動で回復魔法が発動、毒を受けても無毒化してくれるんですって・・・


靴はイディール兄さま。

ガラスでできているように見えるが、これは、クリスタルドラゴンの鱗を加工したもので、履いたものの足に自動でフィットし、疲労回復と運動の補助をする機能が

ついている。


イヤリングはサラ姉さま。

エメラルドのイヤリングは4つ葉の形。

可愛い見た目に反して、攻撃魔法が施されていて、うっかり私を攻撃なんてしたら、攻撃した人のほうが可哀想になるような目に合うらしい。


ブレスレットはレオナ兄さま。

細い金でできたチェーンのシンプルなデザインだが、1粒小さな魔法石がついている。

収納魔法が施されていて、ポケット1つ分くらいの収納が可能らしい。

魔法まだちゃんと扱えないので、既製品で申し訳なそうだったが、ある意味一番使い勝手の良いものだ。


装飾品だけでも国宝級の高価貴重品だらけ。

効果を考えると、装飾品というより武装品だけど・・・


そして全身を包むのは白い布を覆いつくさんばかりの細かな金色の刺繍が施され宝石がちりばめられたルドリーがデザインしたドレス。

刺繍もほとんどルドリーがしてくれたと納品の時に教えてくれた。




「どうかしらルドリー?」

「想像以上です・・・アリステア様は美しく魅力的です。私の作ったドレスを着た美しいアリステア様を一番はじめに見ることができて光栄です」


「うっ・・・ルドリーの作ってくれたドレスがきれいだからだよ」


ルドリーのうっとりとするような目で見つめられて、顔が引きつる。


ルドリーよ・・・うっとり顔のあなたのほうが美少女ですよ。

服装こそ店の制服だけど、ドレスを身に着けたら人の枠を超えた美しさ間違いなしだよ。

でも、かっこいいと言われて喜ぶ男の子にそんなことは言えない。


きっと成長したら美男子間違いないだろうな・・・10歳を超えているからルドリーも成長期のはずだけど、前回会った時とは変化がないような気がする。

ランスは会うたびに一瞬戸惑うレベルで成長しているので、個人差があるとはいえ不思議に感じる。

是非ゆっくり成長してもらいたいものだ。



「すべてではありませんが胸の部分の刺繍は私がアリステア様を想って一刺し一刺し縫わせていただきました」

「えぇ?!こんな細かな刺繍を?!・・・すごい・・・嬉しいわ」


「アリステア様の服は私がつくりたいので、日々研鑽を積んでおります。次はもっと美しいものをお作りいたします。是非、また私にお声がけくださいね」



子供っぽいヒラヒラ、ふわふわ、たっぷりリボンのデザインではないけれど、スカート部分はたっぷり布を使っているし、袖はレースになっていて、涼しいしいい感じに可愛い。

専属ではないし、流行は変わるからいつまでルドリーのお店で注文できるか分からないけど、できるだけルドリーに衣装は作ってもらいたいな。





「アリステア様、そろそろ会場に向かいましょう」

「うん。そうね・・・いこうか」



===============



会場は敷地内にある、住居用の屋敷とは別の建物で500人規模のホールだ。

ホールには休憩室、来賓客が宿泊ができる施設も併設されている。


さすが公爵家・・・パーティーの準備でホールの存在を教えられたが、普通に屋敷で過ごしているだけでは気づけない。

獣舎もそうだけど、敷地内をまだ把握しきれていない。

きっと知らない建物が他にもあるのだろう。



ホールの建物裏口から建物に入り、家族が待機している部屋へはいると、私以外の家族はすでに全員そろっていた。


うん。私も見た目美少女だけど、人の枠を超えた家族が正装して揃うと宗教画見てるみたいだよ?

キラキラして目がつぶれそうだし、すごすぎて逆に頭が冷静になる。


「来たわね、アリステアちゃん。とっても素敵よ」

「きれいだねアリステア。でも飾りが少なくない?子供ならもっとリボンが多い方が好きなんじゃない?」

「サラ、あなた自分の7歳の誕生パーティーの時を覚えてないの?リボンは一つもついていないドレスだったじゃない」

「・・・そうだったかしら」


「アリステア、無事に誕生パーティーを迎えられて良かった。おめでとう」

「ありがとうございます。イデュール兄さま」


「アリステア・・・美しく育って・・・おめでとう。しかし・・・可愛すぎやしないか?攫われていまわないか心配だ・・・」

「あはは・・・ありがとう、パパ。でも皆がくれたプレゼントがあるから、今の私は国で一番安全だと思うよ」

「うむ・・・そうだな。だが万が一があるから、パーティー会場では家族から離れてはいけないよ」

「はい」




「皆さま、ご来賓の方々が揃いました。会場へご移動ください」

「そうか。では行こうか」



================



「ディルタニア家の皆さま入場です」


――――ガチャッ


「「わぁぁぁぁぁぁぁ!!!」」

「おめでとうございます!」

「美しいですわぁ!!」


「きゃぁぁぁ!イデュール様ぁぁぁ」

「サラ様ぁぁぁ!!こちらを向いてください!!」

「ステラ様と目が合ったわぁぁ!!嬉しいぃぃ!!」

「アルフェ様ぁぁぁぁ!!」

「可愛いですわぁぁ!!レオナ様ぁぁぁ!!」



・・・・・・・あれ?ここはファンイベント会場かな?



ちらりと家族を見ると、余裕の笑顔で中央の舞台へスタスタと進んでいく。

お父さまとイデュール兄さまは見たことがない真顔・・・こっちが外面なのね・・・


「イデュール様ぁぁぁ!!今日もクールな顔が素敵ですわぁぁ!!」

「氷のように冷たく美しいですわ!!アルフェ様ぁぁぁぁ!!」


・・・需要は多そうだね。




「皆、今日は私の娘、アリステア・ルーン=ディルタニアの誕生パーティーに来てくれたことに感謝する。どうか共に祝って欲しい」

「わぁぁぁ!!」



中央の舞台に立つと、お父さまがいつもより低く響く声で感謝を伝える。

外面だけじゃなくで、声も外向きなんだね・・・


お母さまにそっと背中を押されて一歩前にでる。


「皆さま、本日は私の7歳になる誕生パーティーに来ていただきありがとうございます。どうか今日のパーティーを楽しんでください」


「「・・・・・・」」


え・・・無反応・・・


「「・・・・・・」」


ど、どうしたらいいの?!何か言ったほうがいい?

もしかして、みんな前の『アリステア』を知っていていて、反応もしたくないとか?!


「「・・・・・・」」


「あ、アリステア様!おめでとうございます!」


っは!・・・あれはサフィールさま?

助かったよぉぉぉ!!


感謝を込めてサフィールさまに向かって微笑んでみた。


「ぐっ!!」

あ、なんか苦しそうな声を出して胸つかんだ?!

ちょ、大丈夫?!



「な、なんて美しいんだ・・・」

「天使の様な姿で、声もかわいらしいなんて」

「さすがアルフェ様とステラ様のお子様・・・なんて神々しい・・・」

「キラキラしていますわぁ」

「かわいい・・・・」


「「わぁぁぁぁぁぁぁ!!!」」



よ、よかったぁぁぁぁ!!無視されたわけじゃなかたぁぁぁ!!

びっくりしたよぉぉぉ!!



「うふふ、よかったわぁ。みんな反応が遅いからどうしたのかしらと思ったら、アリステアちゃんに見とれていたのね~」

「笑い事ではありませんよ母上・・・もう少し皆の意識が戻るのが遅ければ父上が全員を氷づけにするところでした・・・」


お父さまの足元をみると、若干床が凍りついているが見えた。


え、怖すぎ。


「一番はじめに反応できたのは・・・トゥルクエル家の次男、サフィールという名前だったかしら」

「・・・そうだな。そいつは、アリステアとほんの少しなら会話することを許してやろう。少しな」


「あなた・・・アリステアちゃんのパーティーなのよ。会話の邪魔しちゃだめよ」

「・・・・・・・・・・・・善処する」


お父さま・・・善処する気ないね。



「はぁ・・・アリステア、皆に挨拶をしに行こう」

「はい。イデュール兄さま」


すでに疲れてしまった。ちゃんと最後までたっていられるかな・・・私。



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