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24.お茶会①


――――ゴトゴトゴト・・・・・

――――ガタガタ・・・・・ゴトゴト・・・


「2人に今回のお茶会での心構えを伝えておくわね」

「はい!」

「は、はい」


「レオナは元気だけど、アリステアちゃんは緊張気味かしら?大丈夫?」

「大丈夫・・・デス」




今日は日が昇る前にルーリーとリナに起こされた。

緊張で眠れないと思っていたのに、子どもの身体は睡魔に弱かったのを忘れていた。

いつの間にかぐっすり眠っていた。


ぼんやりする頭で、ルーリーとリナの指示に従っていたら、いつの間にか準備が完了していた。

朝食は準備の合間に食べた。

というか、口に突っ込まれた気がする。

私・・・朝弱いのよね・・・眠い・・・



「アリステア様、とてもお綺麗です」

「キラキラして眩いほどです!!」


大袈裟な・・・と、言いたいけど、本当にキラキラしてる。


鏡に映る自分の姿に、絶句した。


納品された衣装を見た時に嫌な予感はしたけれど、着てみると、その仕上がり具合は最悪だった。


ディルタニア家の色は金と銀。

白いドレスに銀色の花の刺繍が施され、金色のレースも使われていた。

デザイン自体はシンプルだけど、光を受けてキラキラと輝いている。

髪にはドレスと同じ生地を使ったリボンが結ばれている。


丹念に手入れされた金色の髪も白い肌も、キラキラ、つやつや・・・


・・・・・・これは、何もしなくても目立ってしまうのではないか?


「・・・お嬢様?どうされました?顔色が悪い様ですが」

「どうしましょう!腰紐を緩めますか?」


「ううん!違うの!・・・ちょっと緊張で、ね。あはは。ルーリーとリナのおかげで完璧だね・・・ほんと、完璧すぎるくらい・・・」

「そうですか?では、そろそろ、馬車へ向かいましょう」

「・・・ええ」




玄関ホールに着くと、お母さまとレオナ兄さまが私を待っていた。


その姿は・・・天界から舞い降りた女神と天使だった。



2人の衣装は私のドレスとセットになるような、金と銀色でシンプルなデザインで、服がキラキラしているのはもちろん、髪も瞳も、肌も・・・見とれるほど美しくて・・・そしてお母さまは・・・本当に光っていた。


忘れてた。お母さま、感情が高ぶると本当に光るんだった。


「まぁまぁまぁ!!アリステアちゃんったら、可愛いわ!!!」

「アリステア、きれいだよ」


「あ、ありがとう。お母さま、レオナ兄さま。2人もとてもお似合いです」


鏡の前で、自分の姿に絶望したけど、この2人と一緒なら全く問題ないね・・・

むしろ、ちゃんとディルタニア家として紛れられそう。



そして、現在、馬車の中。

馬車が動き出したら、お母さまからの助言が始まった。


ちなみに、馬車に乗るころには、お母さまから漏れる光は治まっていた。

狭い馬車の中で後光を見続けると目に悪そうだと思っていたので助かった。


「心構えとは、何ですか?お母さま」

「簡単なことよ。『挨拶以外は、にっこり笑って黙っていること』ってことを覚えておいてね」


あ、これは対策で考えてたことだね。


お母さまとも事前に話をしたかったが、衣装の注文の後、屋敷に帰ってきてからはずっと会えなかった。

時々メイドや使用人たちと話をしている姿は見かけたが、忙しそうにしていたので話かけづらくて、相談できずに当日を迎えてしまった。

お母さまの考えが分からず心配だったけど、事前にルーファとユリウスに相談して考えた対策と同じことを伝えられて安心した。


「お母さま、レティシアとお話してはだめ?」

「残念だけど、だめよ。今度屋敷に来るときまで我慢してね」

「はぁい」


「もし、私がそばに居ない時に何か問われたら、悩むそぶりをして「よくわからないです」と、とぼけなさい」

「わかった!」

「で、でも会話で「よくわからないです」では成立しない答えを求められたらどうしたらいいの?」

「そうね・・・曖昧になるように答えるしかないわね」

「曖昧ですか・・・」


「たとえば・・・好きな食べ物はなんですか?」

「チョコ!」

「ちがうでしょ、レオナ」

「あ!そうだった!えっと・・・「よくわからないです」」


「そうね。それでもいいけど、曖昧に答えてみて、アリステア」

「「好きなものはたくさんあるので、決められないです」とか?」

「よくできました。何か1つの答えになるような返事はしないこと。いい?」

「「わかりました」」



そこから色んなパターンの受け答えのレクチャーを受けていると、あっという間に決戦の場である、王城についてしまった。


馬車から降りると、10人のメイドと使用人たちがきれいに整列して出迎えてくれた。

先頭に立っているメイド長と思われる人が、スッと私たちの前に進み出てきた。


「ご案内いたします。ディルタニア家の皆様。本日のお茶会の会場は、王城庭園でございます」



=================




「あら、私たちが最後だったみたいね」


庭園に着くと、すでに王族以外の公爵家がすでに揃っていたようだ。



「ステラ夫人、久しぶりね。会えるのをとても楽しみにしていたわ。私も、子供たちもね」

「ええ。久しぶり、ステンシー夫人。私たちも楽しみにしていたわよ」


お茶会の準備だ整えられた区域に着いたとたん、ショッキングピンクの髪を豪華に巻いた女性がこ、お母さまへ話しかけながら近寄ってきた。


すごい迫力美女・・・


ショッキングピンクの髪色もすごいけど、赤い瞳がキラキラしてルビーの様だ。

服装は赤色をメインしたドレス。金の装飾品もたっぷり身に着けている。

そしてその強烈で目に痛い色の組み合わせの服装に負けない存在感。


このステンシー夫人が王妃だって言われても納得できそう・・・


でも、これだけ全身赤ってことは、この人がトゥルクエル家の公爵夫人よね。


「ひ・・・久しぶりね。レオナさま」

「レティシア!!会えてうれしい!今日もとっっても可愛いね!」

「ふん!・・・私は別にうれしくなんてないわよ」


あ、この子がレオナ兄さまの婚約者のレティシアさまなのね。


バラ色の髪に、淡い黄色の瞳。ドレスのやっぱり赤。

でも少女らしく、ドレスのデザインはレースがたっぷり使われていて、可愛らしい感じだ。


そして予想を裏切らないツンデレぶりだわ・・・本当にこんな反応する子いるんだ。

真っ赤な顔でツンツンしたことを言われても、かわいいだけだね。


レオナ兄さまをみると、レティシアさまのところに駆け寄ろうとしたのだろう。

お母さまがレオナ兄さまの肩をしっかり掴んで押さえてる。



「ステラ夫人・・・お久しぶりです」

「まぁ、本当に久しぶりね。いつぶりかしら、マドラム夫人」

「・・・さぁ、覚えていないわ」


いつの間に近寄ってきたのか、長くストレートな青い髪に水色の瞳の儚げな女性がお母さまに声をかけてきた。


ステンシー夫人とは真逆の雰囲気。

薄い水色と銀色の装飾品。シンプルなデザインのドレス、そして口元を隠している扇子だ。


人間っていうより、精霊とか、妖精の部類になりそうな雰囲気。

それに、なんか性格きつそう。

久しぶりって自分で話かけたのに、いつが最後に会ったのか覚えてないって・・・

お母さまを見る目もなんか冷たい気がする。


青とか水色ってことは、マドラム夫人はグレイシャー家か。


グレイシャー家ってことは、ユリウスの親族よね。

あ、そういえばマドラム夫人のことをユリウスに聞いたら、「何を考えているかわかりにくいし、性格も良くないな。近寄らない方がいい」なんて言ってたわ。


・・・・確かにそんな感じする。




「皆、揃っているわね。今日は私のお茶会に来てくれたこと、嬉しく思うわ」


後ろから声が聞こえたので振り返ると、そこには黒色の集団がいた。


お母さまがサッと道を譲るように動き、頭を下げた。

私とレオナ兄さまもお母さまにならい、道に沿って並び、頭を下げた。


「おもてをあげて」


ゆったりと、優雅に、それでいて威厳のある声は、命令することになれていることが分かる。



「さぁ、お茶会を始めましょう」


顔をあげると、黒いドレスを身にまとった女性が悠然と微笑んでいた。


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