悪役令嬢(原作という設定のゲーム内のおはなし)
ではまずは「悪役令嬢」から入っていきたいと思いま~す。もはやまとめるまでもないレベルで有名な悪役令嬢。なのにやたら長くなってしまった……説法再び。情報量が多いから仕方ないね。
大半の方にとってはあらためて確認するまでもないですが……悪役令嬢テンプレというのは、基本的には乙女ゲーム——つまり女性向けの恋愛ゲーム——の世界で悪役を務める令嬢に転生してしまう、というテンプレです。
つまり、異世界恋愛テンプレによく出てくる悪役令嬢ものは「乙女ゲーム(そっくり)の世界に転生する」というところから始まることが多いです。その乙女ゲームのストーリーと、主人公が転生して進んでいく、つまり小説で書かれるストーリーとは別物なわけです。
本来のゲームのストーリーと悪役令嬢が「転生者」の場合のストーリー。この二つは分けて考える必要があります。といっても、それぞれにテンプレはあるんですけどね。
で、このページでは原作ゲームのあるある設定について、次のページでは転生者が中に入った(入った?)場合のテンプレについての説明をしてあります。
というわけで、まずは原作ゲームの設定の方から説明を。この悪役令嬢、たいてい公爵家——大体でいえば王家の次ぐらいに偉い——とか侯爵家——公爵家の次に偉い——とかのご令嬢で、彼女の婚約者は王子、あるいは少なくとも悪役令嬢以上の身分を持つ相手。
そして、悪役令嬢本人は性格に難ありという……まあ、言ってしまえば文字通り悪役です。ほら、お金持ちで性格が悪いキャラって悪代官とか「ひどい」キャラとして描かれることよくありません?
そんな悪役令嬢と婚約している王子様。彼が問題児レベルMAX(王子の色眼鏡補正もかかっている)の悪役令嬢に耐えかねてしまうわけです。原作ヒロイン————つまり原作ゲームの主人公の学園入学で王子と原作ヒロインが出会って、二人が恋してしまうという展開に……
で、ここで大事なのが原作ヒロインの身分は低く、後妻の娘の男爵令嬢か……平民、あるいは身分が高くても元は孤児という「玉の輿」感を強くしてくれる属性がもれなくついてきます。
さて、二人の恋が始まってからの悪役令嬢の対応————パターンその一。ここからが悪役令嬢の攻勢の始まり始まり。二人の仲睦まじい姿に嫉妬した彼女は、自分より下位の貴族家の令息令嬢の弱みを握って脅し、原作ヒロインいじめの手駒にします。自分の手は汚さない。それが悪役令嬢(もちろん例外もいますが今回はテンプレということで)。
例えば教科書や制服を隠す、使い物にならなくする、などなど。最終的には原作ヒロインを階段から突き落とすなんてこともしちゃったりします。この突き落としだけ自分でやったという設定もわりと見かける気がするのですが、これは既に悪役令嬢が四面楚歌なのでしょう。たぶん。
そして、最終的には卒業パーティーで王子に婚約を破棄され、王子が原作ヒロインちゃんを新たな婚約者に据える発言。さらにこの場で悪役令嬢あんまり関係ないけど実家の不正が暴かれ……
悪役令嬢の末路は処刑か国外追放されて野垂れ死ぬか、どのみち物語世界からフェードアウトするという未来しかないというのが大体のテンプレです。
さて。先ほど庭咲は「パターンその一」と言いました。そう、原作乙女ゲームの悪役令嬢のパターンにはその二もあるのです! こっちはちょっとマイナーかもですが、悪役令嬢が悪役令嬢たる理由が先ほどとは違って。純粋に国や原作ヒロインちゃんのことを思っての行動というパターンです。
簡単にいうと「原作ヒロインは貴族としての地位が低いから、王子が彼女と婚約すると王家が侮られてしまう」とか「原作ヒロインの女子力ならぬ貴族力が足りない」とかそういった理由で立ちふさがるというもの。
この場合、ヒーローにも特徴があるのですが……その前に嫌がらせの説明から消化してしまいますね。こんな心優しい悪役令嬢が——もはや悪役なのか微妙ですが——原作ヒロインをいじめるなんて信じられない。そう思いません?
で、その結末はどうなのかといえばやはりエンディングで「ヒロインに嫌がらせをした」などという理由で「パターンその一」同様にゲームのエンディング直前でフェードアウトしていくわけです。まあ、こちらの場合立ち回りがうまいので処刑されない限りは……
————と、話が脱線しそうになりました。本題に戻ると、悪役令嬢が嫌がらせをしたとみなされるわけですが。この「パターンその二」だと実際は嫌がらせしていないパターンが多かったりします。つまり、勘違い。
「パターンその二」の場合、悪役令嬢は嫌がらせをしないんです。彼女は原作ヒロインが王子の婚約者にふさわしくなるようにきつい言葉を使うとか、同様のことを当の王子にもするとか、その程度でしかない。
でも、そういった行動が「嫌がらせ」と取られるし。王子と原作ヒロインの身分差カップルによい感情を抱いていないそこらの令息令嬢がヒロインに嫌がらせをして、その罪を悪役令嬢になすりつけられるし。……というのがやってもいない嫌がらせが罪状に並ぶ原因です。
まあ、この二つのパターンがミックスされているパターン(一部本当にやった)もあるんですけどね! 全体として見ればレアケース。
そしてそれを見抜けない王子。これは乙女ゲームのヒーローとしてスペック大丈夫か? と思ってしまいますが、まあここまではあくまで小説内では背景なのでガバガバ設定でも気にしません……少なくとも私は。
それでは転生者が中に入ると悪役令嬢はどうなってしまうのか(なろう内ではご存知の方が大勢いるですって? 知ってる)、次ページで紹介していきます。