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第97話 白羽の矢……

「…つまり明日の報告は今の話し抜きということか…?」

「あちらで見つかったものを何処まで開示するかは残った子達と明日決めることになりますが。主導…いえ、動き出しに関しては内密に動くべきかと思いますので、そうしたいところです。実際には今、冒険者ギルド側のラルスさんがお聞きになっていますし。苦言という名の横槍があったとしても、報告書の調査で私達が斜め上の行動を取ることも見越した上で、許可したのだと他へは言えば良いかと。神父様への説明を聞く限り、現時点で既に思惑から外れているのでしょうし」


ラルスさんはガリガリと頭を掻いた。


「…聡いことは判っていたが、理解が及んでなかったな……神父殿、申し訳ない。これはこちらの落ち度です」


頭を下げるラルスさんに神父様は首を横に振った。


「いいえ。解らなくて当然です。他の子達ならいざ知らず、この子の行動を測るのは無理でしょう」

「……神父殿でも?」

「勿論です」


神父様の短い言葉は、力ない笑みとは真逆にきっぱりと強い。


「止めることは…」

「無理でしょうね」

「そう、ですよねぇ……」


ラルスさんは深く息を吐く。


「ラルスさんですら止めることを考える、のであれば。ギルドマスター様はもっと悩むでしょう。ですから、全てを報告は出来ませんし、致しません。が、これは1人の子供の未来を左右する案件。私達とて黙って…指を咥えて見ている訳には参りませんし、冒険者ギルドに害為す行為などしている暇も御座いません。私達に白羽の矢を立てたのは貴方です。他に案がなければ、どうぞ腹を括って、ご同意願います」


ラルスさんは真っ直ぐにこちらを見た。


「腹ならとっくに括ってる。ギルド間の調整はギルマスにさせる。冒険者ギルドの権限を持って、お前達…いや、お前の案を遂行させる。その為に必要な人員、資料、素材、資金の全てをギルドが持つ。だから、判明した事実と考察や推察、そこから導かれる行動の全てを神父殿とオレに共有してくれ」

「全てを?」

「そうだ。元々これはギルドの問題だ。お前達だけに負わせる気はない」

「…私達の考察と推察は机上の空論ではありませんか?」

「それを判断する為でもある。が、ここまでを見る限り、そこに問題はなさそうだ」

「他に問題がある、と?」

「……お前達が無名の子供だということだ」

「……」

「どうしたって侮られる。出来ることも出来なくなりかねん。だからこそオレ達が動く。その為に共有してくれ」

「……」

「なんでそこで黙るんだよ……」

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