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第91話 書庫へ……

部屋の中の進捗は心配ない。

ルプさんが張り切っていたし、神父様も気にしていた。

ラルスさんは引き気味ではあったが、私達への対応を見る限り、すぐ慣れるだろう。


書庫へ向かう為、歩きだす。


紙の再利用……再生紙の色問題もこれで落ち着くだろう。

最初は出来ただけで喜んだ。

大人も子供だ。

ただ子供達が喜んで使う姿を見て大人がもうちょっと元の紙に近いものを、と思ってしまった。

そして、それが微妙な加減とはいえ出来てしまった。

それならば、と。もっと近い…同じ様なところまでいける筈だと考えてしまった。

子供達に良い紙を、という気持ちも解らないではない。

だが、正式な…それこそ提出書類のようなものでない限り、質など劣っていて構わないのだ。

子供達が自由に使える紙を。

初心で、最も重要な願いに立ち戻れると良いのだが。

まぁ、質を上げるのも悪いことじゃないのだけれど。

何をしたかったのか、を見失っては意味がない。

さて、あちらは大人に任せて、私はこちらで探し物だ。


辿り着いた書庫に入室し、出入口近くにある机に持っていた籠を置き、室内へと視線を向け、棚を見上げ、記憶を探る。


森の聖獣に関する本を見たことがある。

子供向けの寓話のような本なのに院ではなく、教会側にあって不思議に思った事を覚えている。

だが、内容を思い出せない。

本だけ見て読まなかったのか、記憶に残らない内容だったのか……

私になる前、の記憶ではあるのだが。

この身としては珍しい現象だ。

基本、見たもの、読んだものは記憶に残るチートな脳なのだがな……

さて…何処から探すか。

分類としてはなんだ?

動植物の生態?

口伝、伝承の類い?

過去の私は何を探しに来て見つけた?


棚を舐めるように眺めて…

目当てではなかった、けれど、関わりがありそうな本を幾つか見つけながら…

目当ての本に辿り着く。


[森に棲まうもの]


まさかの危険生物一覧の横か。

まぁ、さもありなん、と言えないこともないか。


目当ては見つけたが、他にも何かあるかもしれない。

棚を一通り舐めるように最後まで眺め、結果、6冊の本を手に取った。

子供の手には大きく重い本を術で浮かせて運び、籠を置いた机まで戻り、籠の横に本を積む。

荷物置き代わりの机はあっても椅子はない。

低めの踏み台を持ってきて座り、膝上に紙片を用意して、本を開く。


ぺらり…ぺらり……

本をめくる音だけが書庫に響く。


気になる箇所に紙片を挟みながら読み進め…

3冊目の途中で声がかけられた。


「シア」


紙片を挟み、本を閉じ、視線を上げれば、神父様とラルスさんがいた。

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