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第85話 教会に……

「さて…教会には着いたが。流石に孤児院への訪問はしたことが無いんでな。どうやって入るんだ?」

「正規の手順を踏むのであれば、教会にて用向きを伝えることになります」

「それ以外が有り得ると?」

「正規の手順を踏もうとしても、私に気付かないことはないと思いますので、どこかで何かが省かれるかと」

「まぁ、そうか。とりあえず、教会に入ればいいな」

「はい」


教会の正門…正面から入ることなど、ほぼないので変な感じはするのだがな……

夕餉の時刻も過ぎ、来訪者の姿はほぼないがシスターの姿はある。

来訪者に気付き、手を止め、こちらを見たシスターは驚いた顔で駆け寄ってくる。


「あの、不躾に失礼致します。そちらの子供は院で預かる子かと思いますが、何か御座いましたのでしょうか?」

「何か……はあったかと思いますが、ご心配為さるような事柄ではありません。牧場での護衛依頼を受けている冒険者の1人でラルスと申します。冒険者ギルドから牧場仕事をしていたこちらの子供達に頼み事があり、それに関して説明をさせて頂きたく訪問させて頂いた所存です」

「そうでございましたか。御足労をお掛けしまして…」

「いえ。ギルド側の理由での急な話しでありますので」

「そういったお話でしたら神父様として頂く方が宜しいのでしょうが……」

「急な訪問で申し訳ありませんが取り次ぎをお願い出来ますでしょうか?」


シスターは困ったように眉を寄せて、こちらを見た。

今日の、この時間、神父様は外部協力者と共にいる。

ラルスさんの用向きが、限られた時間を割く程の事柄であるかを判断しかねているのだろう。


「シスター。お仕事もおありでしょうから、私がご案内しても宜しいでしょうか?」

「……良いのですか?」


シスターは真剣な眼差しで問うてきた。

それは、私に案内を任せることへの問いではない。

神父様を呼び出すのではなく、神父様の元へ連れて行く事への確認だ。


「はい」


頷いて見せれば、シスターも表情を柔らげて頷いた。


「では、お言葉に甘えて案内をお願い致します。冒険者ラルス様、その子がご案内致しますので、お話しは神父様へお願い致します」

「了解致しました」

「では、ラルスさん。ご案内致しますので、そろそろ降ろして頂けますか?」

「ん? このままの方が早いだろう?」

「後ろに着いてきて頂く方が案内しやすいのですが…」

「こっちとしてははぐれる心配のない今の方が有り難いが?」

「……子供の歩く早さで、大人がはぐれる筈がないでしょう」

「いや、知らない場所で興味を引くものがあれば可能性はある」

「……子供ですか」

「冒険者なんざ、似たようなもんだ」

「……ふ、ふふ」

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