表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
82/100

第82話 印象は……

「…器用に食うもんだな」


ラルスさんがポツリと落とした言葉に、そういえば、この人の前で飲食をしたことがなかったな、と気付く。


もぐもぐとしっかりと咀嚼して飲み込み、口の中を空にしてから口を開く。


「とても美味しいです。あと、これが私の日常ですので慣れもあるかと」

「旨いなら良かったよ。それ、外して食うのかと思ってたから、ちょっと驚いたがな」


言って、ラルスさんも自分の分を食べ始めた。


「基本的に見せないことを第一とした装束ですので。……あ、こちらも美味しいです」


飲み物もすっきりとした酸味で、この少し濃い味のソースとよく合っている。


「確かに甘すぎなくていい組み合わせかもな、これ」


普段は水か酒か…もしくは飲み物なしか……


「ラルスさんは1つで足りますか? 良ければ、この半分もお食べください」

「ん? それはお前が持ち帰る分だろ?」

「院の子供達の前で私だけ違うものを食べる訳には参りませんので」

「……あー、そういうもんか」

「それに、せっかくの作りたてですから。温かい内に食べられるなら、それに越したことはないかと」

「冷めても旨いがな。まぁ、お前がそう言うなら…って、ホントに足りるのか?」

「はい。飲み物もありますし、十二分に足りるかと」

「それなら貰っとくか。そうだ。院の子供ってのは何人くらいいるんだ?」

「今は20人程でしょうか」

「今、ギルドにいるのも含めてか?」

「はい」

「成程な」


私が半分を食べ終わるより早く、1つと半分を食べ終え、ジュースを飲み干したラルスさんは別の屋台の前で立ち止まった。


「よう。それ、30用意してくれるか? 持ち運びやすいようにまとめてくれると助かる」

「はいよ、沢山ありがとね。これでいいかい?」

「ああ、ありがとな。これで足りるかい?」

「なんだい? 多いよ? 計算も出来ないのかい?」

「籠の分な」

「良いのかい? 沢山買ってくれたから気にしなくてもいいんだよ?」

「いやいや、他の用途で持ってきてたんだろ。それを融通してもらった訳だからな」

「そうかい? じゃあ、ありがたく」

「おう。また寄らせて貰うよ」


ラルスさんは籠を手に歩き出す。


「……あの」

「ん? 食い終わったか? 包みとコップは籠の中に入れて、とりあえずそのまま持っとけ」

「はい。ごちそうさまでした。持っておくのは良いのですが。その、それは……」

「初めて行く場所に挨拶に行くのに手ぶらっていうのもなぁ?」

「……それはそうかもしれませんが。本当の所は?」

「せっかくの顔繋ぎだ。少しでも心証良くしときたいだろ? ただでさえ、お前達を牧場から連れ出しちまって印象悪いだろうしなぁ」

「……はっきり言いましたね」

「お前相手に取り繕ってもなぁ……」

「……」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ