第81話 絡むことは…
「怒ってはおられなかったかと」
「そうかぁ??」
「どちらかと言えば呆れ、でしょうか?」
「あー…成程…?」
微妙な顔で、それでも納得したのか頷く素振りを見せる。
「けどなぁ、お前達みたいなちびっ子と絡むことがほぼないんだよ。判らなくても仕方ねぇだろ」
溢れた言葉に首を傾げる。
随分、慣れている、と思ったものだが違ったのか……
「…っと、果実水でいいか? 好きなの選べ」
通り過ぎかけて足を止めたラルスさんに促され、視線を落とせば、3色の飲み物が見えた。
「……どれが、何味ですか?」
「ん? 兄さん、どれが何だ?」
「こっちから、オレンジ、リンゴ、ブドウだよ」
「だとさ。どれにする?」
「……オレンジでお願いします」
「オレンジ2つ」
「はいよ」
「ちょっと、これ頼むわ」
ラルスさん用のホットドックが手の上に追加され、支払いをしたラルスさんだったが、コップ2つをどう持つかと首を傾げた。
まぁ、例え受け取れたとしても、お互いに両手が塞がったこの状態では飲み食い自体が無理な訳だが……
「降ろしてもらえますか?」
「それしたところで、お前は包みが2つだから食えないだろ? 膝に置け」
「…落としそうで怖いです」
「安定しないか……お、兄さん、その籠ちょっと貸してくれねぇか?」
「これかい?」
「そうそう。コップと一緒に戻すから、どうだい? それか売ってくれてもいいんだが」
「いいよいいよ。持ってきな。コップもここに入れて…ほら、そっちの子が持ってるのも入れてやりなよ」
「おう、ありがとな。また買いに来る」
「まいどー」
屋台の前から離れながらラルスさんが手に持った籠を寄せる。
「これなら食えるし飲めるだろ。ほら取って食え」
「……ラルスさんの手が塞がりましたが?」
「膝に抱えるにはちょっとでかいだろ?」
「持ち手に腕を通せば……」
「いけるか? ……重くないか?」
「大丈夫かと」
まぁ、バランスは悪いんだが……
そこは、こう、魔術でね?
こんなことに使うなって言われるかもしれないが、大した消費でもない。
使えるものはなんだって使えばいい。
コントロール……技術力も上がるしな。
「…とりあえず安定したか? じゃ、食え食え。どうせ戻ったらやることばっかりなんだろ?」
「…お気遣いありがとうございます。では、お言葉に甘えさせて頂いて……今日の糧に感謝を…いただきます」
短く食前の祈りを捧げてから、包みを開け、かぶりつけば、腸詰めの肉々しさと柔らかめのパンとソースが口の中で調和して、想像以上の美味しさだった。




