第80話 食べる量……
「ん? いや、悪い方じゃねぇぞ? お前達と同じ様に変わってるんだろうなって事だ」
「……それもどうかと」
「んー? 変わってるってのは言い方を変えりゃ個性的って事だ。まぁ、それをどう受け取るか、だな」
「……」
「お前達みたいなのオレは嫌いじゃねぇからなぁ。その神父にも興味が出たってだけだ」
「……」
……類は友を呼ぶ、か。
それとも、同類憎悪か。
まぁ、どちらに転んでも、どちらもいい年した大人だ。
折り合いつけて、どうにかするだろう。
「おっと。そうだそうだ。お前、食いもんの好き嫌いはあるか?」
「…? 特には。ただ、食べたことがないものも多いので、苦手なものもあるのかもしれませんが」
「ちびっ子だしなぁ。まぁ、ダメならオレが食えばいいだけか。おぅ、親父、それ2つ頼む」
「はいよ」
「……え」
視線をやれば細パンに焼いた肉詰めを挟んだ…まぁ、ホットドックだ…が売られていた。
「…あの」
「腹減ったんだよな。ここのはオススメだぞ」
「いつも、ありがとな」
「値段が手頃で、手軽に食えて旨いんだ。そりゃ、通うだろー?」
からからと笑うラルスさんが支払いをして1つ受け取り、手渡してくる。
「ほら、お前の分な」
「いえ、あの……」
「とってくんねぇと次を受け取れないんだがなぁ」
「その……有り難いのですが……大きすぎます。無理です」
「ん?」
「恐らく、食べきれませんので……」
「食いきれねぇ?? 小腹空いた時に食うんだがな??」
細パンと言えど、ラルスさんの手よりも大きいパンと、そこからはみ出る大きさの極太の肉詰め…
冒険者なら軽い部類に入るのだろうが、5歳児には無理である。
「おいおい、その子、幾つだい?」
「5歳だったか? もう、こんくらい食えるだろ?」
「いや、無理だろうよ。ほら、半分に切っといたから、こっちを食べな。残りは明日、温めて食べな」
屋台の主人が気を利かせて差し出してくれた2つの包みを受け取る。
「ありがとうございます」
「良いさ。ちょっと味が濃いかもしれないから、何かさっぱりした飲み物があると良いかもな」
「はい」
「って訳だ。飲み物も買いに行けよ?」
屋台の主人の言葉にラルスさんは首を傾げたままだ。
「味、濃いかぁ? それにホントにそれで足りんのか??」
「大人と一緒にするんじゃない。まったく……」
「……わかったよ。んじゃ、飲むもん買いに行くから、またな」
息をつく屋台の主人に言い置いて、そそくさと場を離れるラルスさんに笑いがこぼれる。
「……笑ってんなよ? あの親父に怒られるなんざ初めてなんだぞ??」




