第79話 挨拶……
「そういう訳で、すみませんが私は院に戻ります。今日はありがとうございました。ここに残る皆の事をよろしくお願いします」
頭を下げれば、子供達も「よろしくお願いします」と頭を下げた。
「お願いしてるのはこっちなんだがなぁ……まぁ、任された。ほら、頭上げろ」
…この人は本当によく出来た人だな。
子供に対して、この対応…本当に有り難い。
「明日、時間はわかりませんが、神父様の動向を含め、ご報告を兼ねて、こちらに伺わせて頂きます。では、私はこれで失礼します」
もう一度、頭を下げて足を踏み出せば、もう1つ足音が続いた。
「……?」
振り向けば、ラルスさんがいた。
「あの……?」
「ん?」
「どこかに……?」
「なんだよ、つれないな。1人で行かせるわきゃないだろ?」
「……?」
「挨拶がてら一緒に行くってことだ」
「……挨拶?」
「まぁ、色々? こっちから話すべきこともあるだろ?」
「…ないかと?」
「あるだろ!?」
「………ないかと?」
首を傾げて見せれば、ラルスさんはガシガシと頭を掻いた。
「なんでだよ!? 」
「何故、と言われましても…心当たりが特にはありませんし……」
「ありまくるだろ!?」
「…………ありませんが?」
いや、本当に。
何を気にしているのか……?
「…はーっ、もういい。とにかく! 送って行きつつ挨拶だ! これは決定事項! いいな」
「構いませんが……」
「よし、行くぞ」
唐突に抱き上げられる。
「何故……」
「こっちの方が早いから」
すたすたと歩き出してしまう。
「ドア開けてくれ」
「…はい」
まぁ、いいか。
この方が話もしやすかろう。
ギルドを出た辺りで声をかける。
「あの…本当の所は何用で院へ?」
「さっき言ったままだ」
「本当に?」
「…お前達の仕事を切り替えた説明はこっちがするべき話だろ?」
「………あぁ、成程」
そこを気にしていたのか。
「巻き込んだのはこっちなんだからな」
だが、それを選んだのはこちらだ。
「お前達だけの責任じゃねぇからな」
……心配をしてくれているのか。
その為に報酬が減ることも意に介さず院へ…神父様に会うと。
「それに、お前達を育ててる神父にも興味が出た」
……ん?
「せっかくの縁だ。拾っとくのもありだと思ってな。過保護なだけじゃ、こうはならんだろうし」
……好奇心か?
いや……実利がどこかに…?
「…どこにでもいるような、とは言いませんが。それほど変わった方でもありません」
「お前達を育ててるってだけで、それなりに変わってると思うがなぁ」
「……随分な物言いで……」




