第74話 報告書と資料……
「やはりですか。足りそうですか?」
「うーん… たぶん?」
「どこを、どう調べるかによる?」
「なるほど… では全員がこれを読み終わってから意見交換するのが良さそうですね」
「うん、ちょっと急いで読む」
「それとも、担当決めちゃう?」
「いえ、とりあえず、読んで下さい。2つの資料から見えるもの、をお知りになりたいのではないかと思いますので」
「わかった」
「じゃ、読み終わったのもらうね」
「はい、お願いします」
そこから全員で集中して読み続け、机の上の資料との関係性も見えてきたところで全員の手が止まった。
「読み終わったよー」
「じゃ、とりあえず集まるか」
敷き布の上に集まって座る。
「この報告書と集められていた資料…どう思いますか?」
「こっちの…深緑の方だけじゃないと思う」
「常緑の方にもいて、生き残りがいると思う」
「多分、小さい子だと思う」
「一緒にいるんじゃないかと思う」
…本当に、有り難いくらい優秀に育ったものだ。
ラルスさん達の表情が変わったが、よく言ってくれた。
「危険はあると思いますか?」
「その子にはない、と思う。保護されてるんじゃないかな?」
「大切にされて、大切にしてるんじゃないかと思う。私達みたいに」
「でも、やっぱり、早めに戻った方が良い気もする」
「うん、今のままだと、きっと討伐対象?とかになっちゃいそう」
ちらりとラルスさん達を見る姿に、ここにも学びが活きている、と嬉しくなる。
きちんと経験を吸収して糧にしているのだ。
「けど、深緑の森のように、きちんと知られていれば討伐対象にならないんだよね?」
「知ってもらう為にも今が良いと思う」
「子供を保護してるなら敵じゃないって説明しやすいし」
「物資も必要なものだけで、人に手を出してないし」
話ながらも、ちらちらと見られるラルスさん達の顔に苦笑が浮かんでいる。
まぁ、だが、この反応…恐らく想定済みだったのだろうな。
「ですが、その子が戻ることが…その子の安全になるでしょうか…?」
「「「「?」」」」
「だって、これを見る限り襲ったのは人、でしょう?」
「「「「!!」」」」
「そうだった!!」
「商隊を襲ったのが誰かわからないと、その子の安全は守られないね」
「もしくは目的? その子が生きてても大丈夫なら…」
「いや、保護してる存在が割って入って生きてるだけかも?」
「そうだとしたら、襲った側、生きてなくない?」
「あー…どうなんだろ…」
全員の視線がラルスさんに向いた。
ラルスさんは困った顔で、それでも口を開いてくれた。
「商隊と護衛は全滅したって言われてる。襲ったのが人か魔獣かは不明判定だ。冒険者界隈では魔獣ではない、が大方の意見だが、世間的にはどっちつかずだな」
その答えに子供達は不満顔になった。




