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第73話 秘匿と公開……

「…ですが、この紙は何度目かの紙なので品質としては劣るかと思いますが」

「? 何度目か? どういうことだ? 紙は表と裏を使えば、もう使えないだろ?」


この世界でも、紙の製法の基本は変わらない。

木材から作られている。故に伐採できる量に限りがあり、紙の値段は下がりきらない。

だが、基本製法が同じであるのなら、再利用の方法も同じで出来るということに他ならず。

ましてや、この世界には魔術がある。

再生させる方法は幾らでも構築出来るのだ。

紙を再利用…再生させる、という考え方が無かった為に、出来なかっただけ。


「……その先です。が、残念ながら今はそちらの話より、こちらが優先です。報告書を読みたいので戻ります」


椅子から降りようとすれば抱きあげられた。


「気になるだろ?」

「でしたら、教会へ問い合わせをどうぞ」

「…教えてもらえんのか?」

「神父様が認めれば、でしょうけれど。秘匿している訳ではないので、それほど難しくはないかと」

「秘匿じゃない?」

「はい。まだ改良の余地がある、という理由で研究途中の為、公開されていないだけかと」

「公開するのか…」

「おそらくはそうなるかと。これが民の暮らしの向上に繋がるのであれば、神父様は公開なさると思いますので」

「なるほどなぁ… っと。ここでいいか?」

「いえ、敷き布の外へ。敷き布も机もありがとうございます。どこまで進みましたか?」

「えーと。とりあえず1束読み終わって交換したとこ。聞き取り済みだから、こっちは少し早くなるかな?」

「そっちはどうだったの?」

「概要項目からの推測で関連がありそうなものが4分の1。曖昧なものが半分。残りが関連なさそうに見えるものでしたが、資料の中身によっては見え方が違うかもしれません」

「じゃあ、読み終わってる側から一人ずつ、机の方へ行くのが良いかな?」

「そうしてもらえますか?」

「わかったー。で、シアはどっちから読む?」

「進んでいる方からで」

「じゃ、こっちだね。まだ3分の1くらいでごめん」

「いえいえ、大丈夫です。では…」


互いに頷きあって動き出す子供たちに合わせて大人達も動き出す。


なんとなく、心苦しくもあるが、自ら補佐だと言っていたのだし…

今日はこのまま、付き合ってもらうのが良いのだろう。

…妙に手馴れているのが気になりはするが… そこは触れずにおくべきか… うん、そうしよう。


メモを取りながら読み進め、先に読み終わった2人が机側の2人と交代し、机担当の2人から机の上の資料は大半が何かしらの関わりがある可能性を告げられた。

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