第71話 補佐……
「? 当然だろ? 今日のオレ達の役目はお前達の補佐だからな」
「…補佐?」
「そうだ。資料室にも連れてくし、棚は結構な高さがあるから届かないだろうし、分かりにくい用語とかもあるだろうからな」
「あぁ、そういうことでしたら助かります。では、早速、資料室へお願いします」
「わかった。じゃ、そういうことでな」
ラルスさんが頷いて、何故か私を抱き上げ、ギルドマスターにぞんざいに言い置く。
「…あの、歩いて行けますが?」
「この部屋をか? いいから、このまま、だ」
有無を言わせぬ物言いで押し切られ、ギルドマスターにまともな挨拶も出来ないまま部屋から連れ出される。
……まぁ、歩かなくて良いのなら資料を見ておくか。
手元の資料に視線を落とす。
……まさか、ここで、これが出てくるとは。
何が、何処まで進んでいるのか判ると良いのだが……
3枚ほど読み進めたところで資料室に着いた。
室内に設えられた棚には、本、紙束、箱…と乱雑に物が詰められていた。
これは、物色のしがいのある棚だな。
いや、時間があれば、その言葉通りに片っ端から確認していきたいくらいだが…
如何せん、時間の猶予の判断が難しい。
…とはいえ、時間がないならば、ないなりに手段が無いわけではない。
だが、それは最終手段である上に、今の優先順位では下位の事柄だ。
今、すべきは……
「あの…ラルスさん。こちらの机と椅子……」
「あー…すまん。とりあえず、ちょっと待っとけ」
ラルスさんがそう言って、私を含む子供達は部屋の隅に降ろされた。
「おい、とりあえず使えるようにするぞ」
「「「「了解」」」」
「あ、違います、すみません。待って下さい」
私の声にラルスさん達が動きを止めた。
「あの、必要な資料が用意されている可能性もありますので……」
「……ありえるか?」
「可能性としては。ですので、あの、こちらに低い机を用意して頂く事は出来ませんでしょうか?」
「低い机?」
「あちらの机ですと、資料を積んだ場合に私達では見辛いので… 床に座って使える机の方が有り難いのです」
「床にって…それで良いのか?」
ラルスさんが眉を寄せて尋ねてくるが、こちらが言い出したことな訳で…
「構いませんよね?」
「「「「もちろん」」」」
問えば、子供達からの同意の声も揃った。
まぁ、床に本置いて数人で読むとか普通にやってたから、当然の反応だろう。
「そうか…… じゃ、ちょうど良さそうなヤツ探すとするか。おい」
「行ってくるわ」
ラルスさんの呼びかけに応じて2人が資料室から出ていった。




