第65話 全員で……
まぁ、何はともあれ…本日は初日。
思ったよりは自由時間が取れたが、その全ては見習い達の質問や実践指導によって食い潰されている。
明日以降が本番なのだろうが、さて、どれだけの時間を作り出せるものか…?
質問攻めも、実践指導も、興味を持った証だろう。
実践投入してみたいと思うかもしれない。
本来の職場で。
まぁ、仕事を放り出すような事をラルスさん達が許すとは思わないが、1つの不安材料ではある、としておくか。
だが、悪くないものを見せてもらいもした。
故に、どちらに転んでも良しとするのは吝かではない。
物好きな者ではなくとも、受け入れ可能という事実を知れたのは有難い。
とはいえ、それがどちらに向くか、が問題ではあろうが……まぁ、矯正に手を貸すことくらいはしますとも。
自己防衛の範囲でしょう?
相手は見習い…少年少女とはいえ、働く年齢のお兄さんお姉さんなのだから。
翌日の結論。
拗らせた者はいなかった様子。
最初の選択が良い証拠であり、ラルスさん達の本気の証明でもある。
こちらに何をさせたいのか、未だに判明はしないが、今のところ、こちらに不利益は出ていない。
話を聞くだけならタダだ。
……いや、厳密には時間が消費される以上、タダではない。
だが、最悪、それを盾に交渉しても良い。
何事も考え方と使い方次第だろう。
そんなこんなで、本日、とりあえず、全員で冒険者ギルドから。
一応の魔獣の件もある。
様子見も兼ねて全員、だ。
こちとら7歳以下しかいないのでね。
…とはいえ。多分、魔獣に関しては、ほぼすることはないはずだ。
ラビの件は既に周知されていると、見習い達の話から判っている。
その見習い達は自分達より幼い子供達からも学ぶことが出来た。
職の先達として、技術の先達として認めれる者達だった。
まぁ、初手から度肝を抜く手腕を見せた事で、明らかに尋常じゃないと気付かされたから、と言うのもあっただろうが。
さて、ここではどうなることか…
ざわついていたギルド内は私達が来たことで一瞬、時を止めたように静まり返った。
だが、一瞬、だ。
「おいおい、なんだ、そのチビどもは」
「お前達の隠し子かぁ!?」
ガラの悪そうな男のデカイ声。
まぁ、その程度はなんともない。
私達全員が。
「可愛いだろ? 羨ましいだろ? やんねぇぞ?」
ラルスさんが私を抱き上げた。
いや、私でやるな。
その言葉に意味を持たせたいのなら、ヴェールで顔を隠してる私以外でやるべきだろう。
思った矢先、子供達のはしゃぐ声が聞こえた。




