第64話 質問攻め……
ラルスさん達が連れてきたのは10代半ばだろう少年少女と言える年頃の商人、冒険者、ギルド職員の見習いと呼ばれる者達だった。
あと、何故かラルスさん達と同世代位の冒険者が数人増えていた。
ラルスさん達で不足があるはずもないので、恐らく引率の為の人員だろうが、多分、今日は不要な人材だろう。
子供達は突然の事に驚いてはいたが、昨夜、既に話し合いをしていた為、割りとすんなりと仕事は始められた。
そう、始められはしたのだが……
搾乳にしても、房の清掃にしても、寝藁の入替えにしても、餌やりにしても、子供達は質問攻めにあう。
まぁ、当然の事ではある。
子供で力も体力も劣る私達が、大人と同じ様に働くにはどうしているのか?
小分けにするだけでは到底追い付かないので、小分け作業を含めて、魔術を行使しての連携作業となっている。
あとは何より、日常の暮らしの中で洗練された家事系スキルの習熟度の高さ故にあからさまに清掃等の速度が違ったりもする。
何かする度に驚かれ、質問攻めにされ、子供達は手を止めないが、手伝いにはならない為にかかる時間は変わらない。
その光景に、新たに来た冒険者達はドン引きし、ラルスさん達はそれも含めて大笑いして、その状況を牧場主が笑顔で眺めている、というおかしな空間が形成されていた。
いや、まぁ、想定の範囲内ではあったので問題はないのだが。
私を含む院の子供達にとって作業の効率化は得意とする作業の1つだ。
これまで日常的に考え、行動してきた経験則から導きだされた作業行程は、既に牧場側には快く受け入れられてさえいる。
だが、初見では己の目を疑いもするし、混乱もするだろう。
まぁ、どれだけ驚き、ドン引いたとしても、きちんと働いてくれさえすれば、それで良い。
大体が、どう考えたところで10代半ばの未成熟な少年少女達に私達と同じことがすぐに出来る筈がないのだ。
普段の生活でのスキル習熟度が違いすぎる。
ただ、これが、子供が大人と同じ仕事をする為の手段であることに変わりはなく、大人は大人のやり方で良いし、取り込める部分は取り込めば良いわけで。
見習い達もそうやって折り合いをつけて、出来る事をしてくれれば良いのだ。
結果が同じになれば、過程の全てが同じでなくても良いのだから。
…おおよそ恐らく、ラルスさんの目論見の1つはこれなのだろう。




