60話 面倒な……
「でも、シアだって行きたいんじゃないの?」
「私は特には。皆はラルスさん達を知って、ギルドや冒険者に興味が出たのでしょう? 」
「それは、まぁ。でも、オレ達だけで大丈夫かな?」
「ラルスさん達が連れて行ってくれるなら大丈夫なのではないかと」
ラルスさんに向き直れば、苦笑いから笑みに変えて頷いた。
「もちろん、連れて行くのはオレ達だ。問題になるようなことはさせねぇよ。しかし、なんだ。こいつらは興味持ってくれたっていうのに、お前はつれねぇなぁ」
「残念ながら、今は他の事で手一杯なのもので」
「ふぅん…? 今は、で。手一杯、ねぇ…」
そう、今は、だ。
魔獣の件なら、私以外の子達で十分に先へ進められる。
神父様の助力だけでなく、ラルスさんがいてくれるのなら尚のこと、だ。
そうであれば、私は他へと手を伸ばしておくべきだ。
魔獣の件がここで進むのであれば、尚更、優先すべきことがある。
「で? お前の興味はどこにある?」
「………ギルド違いの商業です」
「なにか商売でも始めるのか?」
「いえ。そういうわけではなく。少々、調べたいことが… あぁ、もしかすると冒険者ギルドの方が……?」
商人が街から街へ、もしくは産地への移動を、自分達だけで行うのだろうか…?
お抱えの用心棒家業がいれば、あり得るのかもしれないが…
そうでなければ、冒険者ギルドへの依頼となるのでは?
ギルド間の連携はどうなっているのか、にもよるが、冒険者ギルドも噛んでるか…?
「なんだなんだ、来る気になったのか? いいぞ。まとめて連れてってやるぞ? オレ達の取り分のことなんか気にする事ねぇんだからな」
「… … …」
……ここは行っておくべきか。
どうせ、神父様は子供達だけでギルドのような場所へ行かせる気などないだろう。
ここを逃せば、随分と後回しになりかねないか。
「…そう、ですね。本当にそれで良いと仰って頂けるのなら、私も連れて行って頂けたらと思いはしますが」
「お? そうか。オレは一向に構わないが、まだ何か気になることがあるのか?」
「良い経験になるとは思うのですが、神父様に知られると面倒なことになるかもしれない、と思いもしまして…」
「?」
「「「「あー…」」」」
ラルスさんは首を傾げ、子供達は一様に納得顔だ。
「過保護なのです。……よく、お判りでしょう?」
「あー…… あれは、そういう?」
「そういうことです。子供は守られるもの。目の届く所で健やかに育つもの。が信条の方なのです」
「いや、現状、既に目の届かない所にいるじゃねぇか、お前達」
「不承不承の上の納得、なので…」
「どういうこった?」
「これは、私の我儘なのです」




