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第54話 変な……

魔獣になった、とは言ってもウサギはウサギなのだろう。

歯も蹴り足も鋭く強くはあり、角も増えて攻撃力は増しているのだろうが、それでも弱い部類なのだろう。

魔獣どころか、大型の獣と比べたとしても。


「さて、戻るか。随分、長居しちまった。あっちでの仕事もあんだろ?」

「…!! そうだった! 房の掃除… は今日はこっちに来るからやってくれてるから…」

「餌運びから、だね! じゃあ、それまでに誰が、どう動くのか決めないと…!」

「いやいや、そこで丸くなって相談しようとすんな。戻りながらやれ」

「「「「あ、はーい」」」」


子供達の返事にラルスさんはくつくつと笑う。

苦笑とは違う。

明らかに面白がっている、という笑いだ。


「変なのに関わっちまったなぁ」

「「「「変じゃない!!」」」」


子供達の声が揃い、ラルスさんの笑みが深くなる。


「自覚ねぇんだなぁ。まぁ、すぐ分かるさ。お前達がどんだけ変わってるか、なんてな」

「……変わってるの?」


1人が私に問いかける。


「私を変わってると思いますか? あぁ、容姿、ではなくてですよ?」


容姿は明らかに変わっている。

このヴェール姿は勿論だが、この子達が知るヴェールの下ですら、だからな。


「……変わってる、かな?」

「では、皆も同様かと思います」

「なんで!?」

「私のすることと皆がすることは、あまり変わらないと思うので…」

「「「「あー……」」」」

「自分達にとっては普通の事でも、他者から見れば変わっている事など、いくらでもあるのでは?」

「「「「あ゛ー………」」」」


子供達は深く納得したようだった。

それも当然のことだろう。

この半年、代わる代わる訪れた研究者、騎士、術士達が一様に驚きの声を上げたのは記憶に新しすぎる。


……そう。何人も何人も……

王族が混じってなかったことだけが救いだが、あの王子のことだ。どこかで、ぽん、とやってくる可能性は否定出来ない。半年、来てないことすら奇跡のようなものだと思っている。例え、翌日には研究塔の人間が来たのだとしても………


思わず息をついてしまう。

ヴェールがあるからこそ、だがな……


「くっくっくっ…… ホント、おもしれぇなぁ。お前達、見てて飽きねぇよ」


耳に届いた言葉に僅かに安堵する。


そう思ってくれるなら悪くない。

なにせ、この思考と行動力に引く人間は相当数いるのだ。

この半年で少なくない人数を見た。

とはいえ、彼らは直ぐに慣れはした。

流石は院へ来ようと思い立てただけはあるのだろう。

だが、彼らは基本、王宮勤めだ。

外へ出ることはほぼないだろう。

そこで、こういう出会いが活きてくる。

こういう人材は有り難く、手放すのは惜しい。

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