第5話 朝、目覚めて……
結果としては、魔力値の分母…最大値は増えていた。
朝、目覚めて、全てが夢ではなかったと息をつき、ステータスを確認した結果だが、まだ1度の結果に過ぎず、偶然の可能性も否めない。
だが、最大値を増やすことも必須事項故に自身の経過観察は続けるとして。
検証数を自身以外でも増やしたいところだが。
正しく測れなくては検証材料としては弱い。
昨夜はやはり、テンパっていたのだろう。
こんな簡単なことにも気付けなかった。
ステータス画面は紛れもなく、ステータス画面なだけだった。
ステータスと唱えても魔力が消費されなかった。
故に人物鑑定として鑑定スキルを使用した訳ではなかったと判断出来る。
そして、改めて己に鑑定を使用した結果…… 不発。
それが鑑定スキルの不足故か、自身に使えないだけなのか、の判断材料が自身の中になかった。
鑑定スキルに関する知識不足……ゆゆしき問題だが、解決手段が無いわけではない。
……が、一筋縄でいくかどうかは五分の賭けになる。
考えることも、やるべきことも、山ほどあるのに、時間は限られている。
手は幾つあっても足りないし、手段を選んでもいられない。
ベッドから降りて、身支度を整える。
善は急げ、という言葉がある。
早起きは三文の徳、という言葉もある。
まあ… 急いては事を仕損じる、という言葉もあったりするが。
正直のところ、今は一分一秒でも惜しい。
手早く、手広く、同時進行していかなければ間に合わないだろうから。
だからこそ、行動は迅速丁寧。
慎重と大胆を使い分けて、欲しいものを手にいれるべく邁進するのみ。
鏡の中、一分の隙もない修導女姿の己に1つ頷いて、部屋を出る。
最初の、最大級でもある賭けに勝つ為に。