第49話 正論……
名前は確か……
「あ、ラルスさん! 驚かさないでくださいよ…!!」
「そりゃ、こっちの台詞だ。戻ってこねぇから見に来たんだぞ?」
……心配される程の時間は経っていないはずだが。
「お前達に何かあったらオレ達も困るからな」
「自分達の心配なの? 私達じゃなくて?」
「当たり前だろ。お前達の安全も守ってオレ達の仕事は完遂なの。お前達に何かあって、オレ達が職を失ったら、オレ達もお前達も不幸だからな」
「……心配したって言えばいいのに」
「大丈夫だっつって出てったのはお前らだろうに。で、それ、なんだ?」
彼が示すのは腕の中の魔獣。
「多分、ラビ? ちっさいけど角あるし」
「は……? ちょい見せてみ? ………おぅ、確かに角がある。ウサギではないな。とは言え、こんなちっこいの初めて見たな。どこに……って、そこか。巣穴か?」
「多分? ウサギと同じ習性が残ってるなら巣穴に暮らしてるのかなって。闇雲に草原探すより、それを探してみようってなって、ここを見つけたんだけど……」
「だけど?」
「全然、凶暴じゃないし。サイズも確かにウサギに比べれば大きいけど、私でも持てるし」
「襲ってもこないけど、逃げもしなくて。考えたんだけど私達みたいに子供なのかなって」
「子供……」
「魔獣だとしても、本当に危険なんですか? 討伐しなきゃならない程に?」
「…今、ここにいる個体はそれほど危険じゃないかもしれない。けどな、こいつらが子供だっていうなら成獣になった時には?」
「それは……!!」
「不安の種を取り除き、安全に暮らせるようにするのもオレ達の仕事だ」
ぐうの音も出ない正論だな。
だが、穴がある。…と言うよりは、一方向での正論、と言うべきか。
子供達がこちらを見る。
流石に厳しいか… そうだな…
「あの、少々、よろしいでしょうか?」
「ん? なんだ?」
「そもそも動物と魔獣の差とは、どういうものなのでしょう?」
「んん……?」
「危険、という意味で言えば野生の動物も、かなり危険な… 獰猛で、凶暴な種がいるかと思うのですが」
「お前達だって知ってるだろ? 魔素を取り込んで凶暴化したもの、だ」
「ですが、このラビ? は凶暴化しているとは思えないのです。これなら野生の鳥の方がまだ凶暴かと……」
「あー……」
「人は魔素を取り込んでも凶暴化しませんが、なぜ動植物だと凶暴化するのでしょうか?」
「は…?」
「人だって大きなくくりで言えば動物でしょう?」
「お? ……ああ、成程な。あー、でもな? 人は多分、凶暴化する前に魔力暴走が起きて止められてるだけかもな」
「「「「!!!?」」」」
……きた。




