第45話 対応は……
……ああ、その対応の事をすっかり忘れていたか。
「どなたが、どのように、来られるか、と。用件によるかと」
「避けるつもりはない、と?」
「避ける必要はないかと思いますが、必要以上に前に出ることもないかとも思います」
「ふむ…」
「今日、私がして見せた事は多かれ少なかれ出来る姉弟達はおりますし。そうなる為の修練は日々、行われておりますし」
「確かにそうですね。では、その心積もりでいることにしましょうか」
「……すぐに来られるとお考えですか?」
「可能性はある、と思っています。誰が来るかまでは判りませんが」
「本当に自由なのですね……」
「優秀なことで喜ばしい限りですよ?」
……国は安泰、という意味では確かにそうかもしれない。
だが、時に、それが誰かの迷惑になることも気付いて欲しいものだが。
……いや、気付いてはいるのか。
放っておく方が損失だと考えて、迷惑の先にある利益を還元する方向で調整しているのだろうな…
子供達に職業体験をさせる為に、神父様が調整役になっているように… 国の上層部が動いているのだろう。
そして、研究者や高みを目指す者は迷惑だと気付きも考えもせず、来るのだろう。
……画期的、なのだろうからな。おおよそ、おそらく……
だが、だからこそ。
たとえ、どれほど興味深かろうとも、相手を尊重し、配慮を忘れない神父様には感謝しかない。
「まぁ、君を含め、子供達はいつも通りで良いでしょう。私達が対応し、都度、確認して君達へ、という流れとなるでしょうから」
「はい。お任せ致します」
「では、そのように」
今度こそ部屋を出る為にドアが開かれる。
ヴェールを下げ、部屋を出る。
失礼します、と頭を下げて孤児院の方へ歩き出した足を神父様が呼び止めた。
「どうしましたか? まだ何か忘れていたことでもありましたか?」
「……無理をしないように」
「………」
「くどい、と思うのも解りますが、何度でも言います。無理をしない。人を頼りなさい。私でも、シスター達でも、子供達でも力になれます。手を出せない事柄でも話を聞くことは出来ます。1人で抱え込まない。良いですね?」
「はい」
「よろしい。では、また、のちほど」
神父様は満足気に笑んで、踵を返し、歩き去っていく。
1人で抱え込まない、ね。
それこそ神父様にも言いたいことではあるが…
今、ここに神父様の右腕になれる者はいないから、言っても栓無いこと、なんだろう…
まぁ、今は、だがな。これからは、ねぇ…?




