第44話 きっかけと……
「……それにしても、こうも互いの為になるであろう提案になってしまったら、子供のただの我儘ではなくなってしまうね。君らしいと言えば、君らしいのかもしれないけれど」
困ったように笑う神父様に首を傾げる。
「付加価値を見いだすのは主に神父様だったかと…?」
「……まぁ、そうかもしれないけど。君だって思っていたのでは?」
「どうでしょう? 少なくとも、この教会や孤児院の発展に繋げたのは私ではないと思います。きっかけ、ではあったかもしれませんが」
そう、これまでは、そこまで気付いていたかは怪しい。
きっかけとなる些細な事を口にしたり、行動したりしたのは事実だが、それは、ただただ己が生き易くなる為であり、興味が勝ったが故。
それを拾い上げ、形にし、浸透させたのは神父様達なのだ。
勿論、最初は自分達の為であったのだろうけど、秘匿せず、民の為のなるようにしていたりもする。
「それを理解している時点で、ね……」
「そういう風に育てて下さったのは神父様達ですが?」
「……同じように育ててきたはずだけれど、君ほど聡い子は他に類を見ないよ?」
「気付いている子はいるかと?」
「……年を重ねれば、まぁ、自ずとね。あと、今いる子達は君の影響があるからね」
「………」
……まぁ、そうとも言うか。
わずかな沈黙のあと、神父様はにこりと笑んだ。
「さて、では、そろそろ通常に戻るとしましょうか。シアはどうしますか?」
「本日、往診はありますか?」
「夕刻に一度、確認に来る、とは言っていましたね」
「行動制限は?」
「起きたら、様子を見ながら動くように、と」
「では、医務部屋を片付けたら、兄様達の所へ行きます。まだ、習練中かと思いますし」
「部屋の片付けはゆっくりやってください。その上で時間が余るようなら行って良いですよ」
これは……
「年長の子達には言ってありますから大丈夫かとは思いますが、動けてしまうといつも通りになりがちですからね」
……出来るだけ動くな、ということか。
「…気をつけます」
共に部屋を出ようとし、ふと神父様が足を止めた。
「?」
「そうでした。もうひとつ確認すべき事がありました」
「なんでしょう?」
「城から人が来たら、シアはどうしますか?」




