第42話 苦労と……
これまでも、多くの事を… 私が無意識に振り撒いていた事が、私の身に降りかからないように… 負担にならないよう、手を尽くしてくれていたのだろうと思うから。
私を、子供達を、護る為に多くの矢面に立ってくれていたのだろうと思うからこそ。
「いいや。おかげで院の運営は随分と楽をさせてもらっているし、他への助力もしやすくなって、繋がりが出来たことで連携も取りやすくなっているからね。問題がない、とは言えないけれど、良いことの方が多いのだから、我々、大人もやるべき事をやらなくてはね」
……広がっているだろう、とは思ったが、想像以上に手広くやっていそうだ……
「……困って、いるのですね」
「嬉しい誤算… 嬉しい悲鳴、とでも言うべきものであるし、なにより、本来なら先人足る我々が気付き、論じていくべき事柄を、君達が気付き、始めたからといって全てを背負わせ、任せる訳にはいかないでしょう?」
……まぁ、神父様なら、そう言うでしょうけども。
「ましてや、教会や院だけでなく、民の暮らしが良くなる為の務めでもあると知れば、誰もが否を唱えることもない。民の暮らしが潤えば、幸せに生きられる者も増える」
……民が潤えば、確かに孤児も減るだろうけども。
「その為ならば、苦ではない」
……苦労と、感じているんじゃないか。
それでも、この対応か…… 畏れ入る……
「手が足りているうちは何一つ困ることはない。これまで通りなんとでもなる。けれども、もし手が足りなくなるようであれば、少し加減をしてもらえると有難い。その程度の事だよ」
……神父様が、手が足りなくなるような事態を招くとは到底、思えないが。
私だけではない、ということに気付いての発言ならば…あり得なくはない。
…のだが、恐ろしい程の理解力と判断力……
確かに、私がこれまで通りにやらかして、私に…この院での暮らしに慣れた子達までもがやらかし始めれば、内容にもよるだろうが、頻度、範囲ともに手に終えない可能性も有り得るだろう。
だが、それを見越して、ここで牽制してくる辺り、何も問題など起きようもない気もするのだが……
「…ならば、止めてください。私では判りませんので」
「止まってくれる、ということだね?」
……言質を取りに来るとは。だが、しかし……
「……流れによる、としか」
転がりだし、流れゆくものになってしまえば、止めようもないのだ。
「そこは仕方のない話だね。だからね? 次を待って欲しい、という意味だよ」




