第41話 己の価値……
「ふむ……」
「ですが。教える、ということは、お手を煩わせることでもあります。普段より手間がかかるのに成果が落ちる、という状況にもなるでしょう」
「そうだね」
「ですが、未来の為……数年先を見据え、お願いして頂きたいのです。子供達が選ぶ道の先で、より良い結果を得られる…その為の布石であり、投資なのだと考えて頂けたなら、と……」
「長い目でみれば、利はある、と」
「…働き手の適正判断にもなるかとも思うのです」
「雇う際の判断材料にもなる、と」
「あとは… 子供ならではの目線から得られるもの…… 小さいからこそ出来る事… 力が弱いゆえの手段… そこから見える現状の改善…… 道具や環境の改良にも繋がるかもしれません」
「そこから雇用の幅も広がる、と」
「…ここは可能性に過ぎませんが、お互いに得るものが多い方が良いので、そうなると良い、と思うのです」
神父様が苦く笑む。
なぜ、今、その顔なのか……
「君なら、そうしてしまいそうだね…」
心外な……
私以外でもきっと気付く。
ここでの生活との違い、でもあるのだから。
「…そこまで説かれては反対のしようがない」
ため息をつくように神父様が告げた。
「では……」
「きっと引く手数多になるのだろうと今から目に見えるようだよ」
言葉と共に、ぽん、と頭に乗せられた神父様の手に少しだけ首を傾げる。
「……?」
「君は、本当に自分の価値を知らないね」
「…… …… ……」
……知ってはいる。
今の私なら、それに気付いている。
これまでは無意識に、無造作に、おぼろげな記憶から、振り撒いていた。
自分と周囲の為に。
それがもたらす意味も、価値も知らないままに。
だが、これからは違う。
意味も、価値も、付加価値すら認識して。
その上で、振り撒いていく。
ただでさえ時間が足りないのだ。
要らぬ苦労で時間を消費する気は毛頭ない。
自らに全てが降りかかるようなことがないよう、細心の注意を払って、知識と手段を振り撒いていく。
……とは言え、結局のところ、現状に変わりはないだろう。
振り撒かれたものを、良いようにまとめるのは神父様達、という構図は変わらないのだから。
そう、子供達の誰がしたことであったとしても、だ……
「……困りますか?」




