第40話 我儘を……
「同時、或いは、順番を決めて、色々な事に挑戦するのも良いのではないかと思うのです」
「ああ、成る程……得意なことが1つとも限らないのだから、やりたいことだって、沢山あって良い、と」
「私も試していきたいのです」
「……君の得意… 適正は… 多岐に渡りそうなのだけれど?」
「ですから、時間が圧倒的に足りないと考えているのです」
「……そう来るわけか」
神父様は大きなため息をつく。
「……はぁ。本当に君には敵わない……」
苦笑を浮かべて、神父様は私の頭に手を置いた。
「目に余るようなら、どんな手を使ってでも止めるからね」
「……そうならないよう、気を付けます」
「……君が見ているものを、見れたら良いと、今ほど思うことはないのだろうね」
「……」
「君が見通す先へ、君が望む通りに、辿り着けたなら。その時には今日からの日々を笑って思い返せる、そう出来るようにしようね」
「……」
「全員、の中に君が含まれないのは許されないからね?」
「はい。勿論です」
「それなら、助力は惜しまないよ。だけど、1つだけ、お願いしたいことがあるんだよ」
「…なんでしょうか?」
「余り急いて大人になろうとしないで欲しい」
「…それは……」
「元々、君は大人びていたけれど。君は5才の子供で、年相応の我儘を言って、大人を困らせて良いんだ。それは子供の特権なのだから、それを使わずに大人にならないで欲しいんだよ」
「……」
「子供でいられる期間は決して長くはない。だから、私達から君を甘やかす時間を奪わないで欲しいんだ」
「……その言い方はズルいかと」
「何度言ったって、甘やかさせてくれない君にはこれくらい言ってもいいでしょう?」
「……解りました。では……」
頭に乗せられた手を取り、捧ぐように両手で包み、額をつける。
「外泊許可を下さい」
「は……?」
「酪農体験をしたいです。鉱山体験をしたいです。工房体験をしたいです」
「……」
「孤児院に納めて下さる皆様のところで良いのです。邪魔にならないようにします。出来るお手伝いをしながら、皆様のお仕事を学びたいのです。勿論、私だけでなく、望む子がいればその子達も含めて……」
捧げた手を降ろし、神父様を見る。
「職に就く前に、職を体験するのは、将来の職を選ぶ上で悪いことじゃないと思うです」
「それは、まぁ、解らないではないけれど… 何日くらいを考えているんだい…?」
「ご迷惑でなければ、少なくとも5日~10日程でしょうか。仕事を知り、己が出来ることを知るだけでも数日は必要かと思うので……」




