第35話 処分は……
「そう、ですね。教育法にしても、術にしても、新しく見聞きすることばかりでした。出来ることなら導入させて頂きたい内容が多分にありましたが、それも勝手にして良いものではないでしょう。ですが、だからと言って公にその功績を知らしめるのも良くありませんでしょうし… 落としどころが大変難しい…」
それは、改めて、視察に来れば良いだけだろうに…
勿論、来る理由は考えなくてはならないし、腹芸が出来ないであろう第3王子を置いてくる理由も考えなくてはならないだろうが。
「それも、必ず、なんとか考える! 僕だけでは無理かも知れないが…… 必ず、良い方法を見つけてみせる…! だから顔を上げてくれ」
それで良い。
誰かを頼れるのなら…その道を選べるのなら。
彼の、そして私達の選択肢はかなり広がる。
そろりと顔を上げれば、ほっとしたような顔が2つ並んでいた。
…ここで、そんな顔が出来るのか…
「……寛大なお言葉、ありがとうございます。ですが、必要とあれば、如何なる処分も甘んじてお受け致します事をこの場で誓わせて頂きますので……」
「その必要はない」
「…先日の事も含めて、で御座いますれば…」
「先日の…? いや、それに関しては君を含め、子供達に責はなく、問題ないはずだ。そうだな?」
「そうですね。あれらが何をしようとしていたか、まではまだこちらに届いていませんが、間違いなくあれらの罪となるかと」
「…それは、其方への件ではなく、なのでしょうか?」
「そうなるかと」
「そう、なのですか……」
「何を心配しておられますか?」
「……過剰防衛ではなかったかと……」
「ああ。それなら問題ないかと思います。怪我の1つもありませんでしたし、子供にしてやられたなど、あれらも声高に主張はしないかと」
「というか、何が起きたかほぼ分かっていなかったからな。主張のしようがないだろう」
述べられた事実と呆れたような響きに苦笑が浮かぶ。
「それでも、見るものが見れば解ってしまうことでしょう」
目の前の2人が理解したように。
「そうか? 実際に見て、理論も知ったが、それでも現実味は薄いぞ」
「そうですね。目を疑う光景でしたし、次があってもやはり同じ様に思ってしまいそうです」
……ふむ。まだ一般的ではないから、そうなるのか。
「大体、子供達を大人で囲む時点で駄目だ。その状態で子供達が身を守る為にしたことを過剰防衛ととることもない。それだけの必要があると見なされるはずだ」
「子供の足で逃げる為の時間と距離を得る為には強行手段も必要でしょう。その上で今回は先も言いましたが怪我の1つもないですから問題も起きにくいでしょう。この手段を促進したいくらいです」
……それをしてもらえるなら諸手を挙げて歓迎しても良いくらいなのだが。




