第34話 責任は……
「……さて、そろそろお時間も気になりますし、もう1つだけ、こちらからの発言をお許し頂きたく存じます」
緩く頭を下げてから一歩ひいて2人を見返せば、眉をひそめながらも、無言でこちらを見返していた。
「……では、改めまして」
切り出した言葉に2人の体が僅かに揺れた気がした、が気にしない。
「此度は私のような者が、色々と生意気なことばかり申し上げた挙げ句、大変、失礼な態度と物言いで接しましたこと、まことに申し訳ありませんでした」
言葉遣いを改め、述べた謝罪に合わせて、深く頭を下げる。
「「!!??」」
驚愕の気配がしているが、放置して……
「お咎めがございますれば、先にも少し触れましたが、どうか私個人へとお願い申し上げます。此度の件……御二方に色々と申し上げましたことは全て、私自身の考えであり、言葉であり、責であって、この院や教会の責ではございません故……」
「恐れ多くも口を挟ませて頂きます」
言葉尻に被せられた声に頭を下げたまま、息をつく。
やはり、来るか……
「このような幼子の言動全てがこの子の責になる筈もございません。子の教育は親の務め、子の責は親の責でございましょう。さすれば、何卒、裁きは我が身へお願い申し上げます」
背後に立つ慣れた気配にもう一度息をついて、言葉を紡ぐ。
「子であっても、親であっても、個が為したことの責は、その個が背負うべきでございましょう。そうでなければ人は育たないと考えます。特に、今回の件に関して言えば、私は自身の責任で、自身が全ての咎を負うつもりで御二方との対話に臨んでおりました。他へ責任を転嫁するつもりは一切ございません」
「この子はこう申して引きませんが、それだけでも人は育たないと、私共は考えております。…どうなされますか?」
「罰するわけがない!!」
「礼を欠いたのはこちらでしょう……」
静かな問いに温度差はあれど、即答か……
「大体がお忍びで来ているのだぞ!? 身分などあってない身を装っているところへ不敬など持ち出すものか!!」
……いや、己の身分を明かしている以上、既にお忍びだから良い、からは外れているはずだ。
「無理を言ったのもこちらです。貴女方が示した話の内容はすべて正論であり、理に適った道理でした」
……正論だから、で許されることばかりじゃないのが世の常だろう。
「ましてや、最初から最後まで、すべてが学ぶことでしかなかった…! それを褒美を与えるならいざ知らず、咎として罰するなどもってのほかだろう!?」
……褒美、は少し惜しい。が、今はそれを得るのは得策ではないので欲張るまい……




