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第32話 誰かを……

「私は自身を多少、他の子供とは違うのだろうと理解はしております。事あるごとに神父様達にそう言われて来ましたから。けれど、特別なことではない、とも感じて来ました。神父様やシスター達は私と他の子供達を区別しませんでしたから。珍しくとも、あることなのだろう、と考えて参りました」

「子供は皆、等しく大切な存在です。得手不得手があるのも個性でしかありません。子供達が健やかに育つ為の手助けをするのが大人である私達の役目と思い、個性を見極めつつ、彼等が望む道を共に捜すことにしています」

「周囲の理解がある場合、己が異質であるという自覚の薄い子供が出来上がるのです。そして、その逆も然り…周囲がその異質を疎めば、疎外・迫害が起きるのだと思います。これは、子供に限りません」

「そう、か…」

「私は、私の存在で孤児院を害されることがあってはならないと考えて、私を切り離せるようにと、私に最初に与えられた名を名乗りました」

「最初?」


ドレゴルド様が僅かに首を傾げた。


「顔も名も知らぬ生みの親が与えてくれた名です」

「っ! すまない……」

「いえ。それは、私がここへ来た時にいた大人しか知らない名前で、私がここで過ごせるならば、必要のない名前でもあります。ですので…」


私は、視線を向けたことが分かりやすいように、ドレゴルド様とアンディゴード様に向き直る。


「もしも、再度、お会いすることがあるのならば、今の私を示す名をお呼び頂きたく思います」

「会える、のか…!?」

「それは、私には判りません」

「では、何故……」

「私は、どうすれば良いのか判らない時、姉様や兄様、神父様達にご相談します」

「あ……」

「助言を求めることは恥ずかしいことでしょうか?」

「……!」

「誰かを頼り、何かを任せることは間違いでしょうか?」

「そんなことは……!」

「ならば、良いのではないでしょうか」

「だが……」


ドレゴルド様はちらりとアンディゴード様を見やる。


「気付き、知り、考え、実行する。その全てを賄え、とは言われていないのでは?」


ドレゴルド様の視線にも、私の言葉にもだんまりか……


「1人で出来る事など……ましてや子供に出来る事など、限られていると思いませんか?」

「そう、かもしれないが……」

「では、1人で答えを急ぐ必要はないのではありませんか?」

「だが、僕が……」

「確かに。自覚をお持ち頂きたい、と言われておりましたが、そこに至る過程は限定されてなかったように思いますが?」

「……!?」


これだけ言葉を重ねても、反論どころか制止すらない事が答えだろう。

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