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第31話 不思議は……

「……そう、でしょうか?」

「はい」


……即答か。

まぁ、それも仕方がない。

貴族の女性らしい強かな女性ばかりのはずだから。

今の、この人の周囲には。


「……色々な性質の者がおりますので、私だけが不思議なのではないと思います」

「それは……」

「私からすれば、お二方も、とても不思議です」

「……?」

「こちらを訪問されることも。偽名ではないことも。何もかも不思議で御座いますれば」

「ああ…… 確かに、普通では考えられないこと、かもしれませんね」

「ですので、そういう者もいる、と思って頂きたく……」

「そう言われてしまうと、返す言葉もありませんが……」

「何を言う! 不思議でもなんでもないだろう。僕達も君も。ありのままを見せているだけなのだから」


胸を張って告げられた言葉にアンディゴード様を見て、小さく首を傾げて見せた。

浮かんだ苦笑は見えずとも、察してくれるに違いない。


「……それが、なのですがね」


溜め息混じりに落ちた言葉に、今度はドレゴルド様が首を傾げた。


……これは通じない。


そう思ったのと同時に溜め息が追加されていた。

その大きな溜め息にムッとした顔になったドレゴルド様に声をかける。


「不思議、は。違和感、でもある。とすればどうでしょう?」

「…?」

「私を異質だと思われたのは、5歳児として違和感があったからではありませんか?」

「!」

「異質な5歳児が孤児院にいることを不思議に思いはしませんでしたか?」

「む……」

「本日、お見せしたものは、ここでは、日常の教育となっている事の成果ですが。それも不思議の事柄だったのでは?」

「それ、は……」

「私にとっても不思議な事ばかりでした」

「なに…?」

「ここしか知らない私には、ここの教育が普通だと思っておりました。そのうえで、一般家庭や貴族、王族と教育の質が上がっていく事は存じておりましたから、お二方がここの教育に、私の教養に驚かれたことが、驚きでした」

「…そうは見えなかったがな」

「失礼に当たるかと、平静を装っておりました。王候貴族の皆様方に孤児の私が失礼をすれば、何が待ち受けているか…と不安もありましたので……」

「……」

「ですが、お二方の言動は失礼を承知で申し上げますが、ここで得た知識や見識からすれば、それこそ異質、と呼ぶにふさわしいかと存じます」

「ふむ…」

「その地位に生まれ、それを普通…日常としてきた貴族の方々であれば、私以上にそれを感じ、齟齬を埋められず、困惑するのではないかと推察致します」

「君は?」

「困惑は致しましたが、書物や一部の方しか知りませんから。こういうこともあるのかもしれない、と受け止めました」

「なるほど」

「…違いますから。この方が特殊なだけですから」

「そこも含めて、で御座います」


思わず、といった感じで挟まれた苦言に小さく頷いて答えておく。

読みたい欲 ≫ 書きたい欲 の日々が続き、滞っておりましたが、少し落ち着いたので、のんびり投稿していけるかと思います。………多分。

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