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第29話 忘れるとしても……

「……神父様。もう少しお時間を頂きたかったのですが?」


背後から腕を固定する神父様に声を低めて抗議を示す。


「駄目ですよ。それは魔力を吸い取ると言われています」


……魔力を吸う?


「短時間とは言え、身体に支障が出てもおかしくありません。大丈夫ですか?」


アンディゴード様の手に戻った魔力錠に視線を固定したまま、小さく首を傾げた。


「……何処へ蓄えると…?」

「シア?」

「魔石もなく、散った魔力が魔素に還元されてもいない… ならば何処へ……?」

「魔力錠の機能維持の為に取り込まれてると聞いたな。余剰分は塔で管理している魔石にいくとも」


明確な答えにドレゴルド様に視線を向ける。


「それはつまり、魔石がなくとも魔力を取り込み、固定……維持する方法があるということですか?」

「そうなるのだろうな」

「そして、遠隔地を繋いで魔力を移動させる方法もあるということなのですね?」

「ん? ……あぁ。そうなるかな?」


これは良い情報を得た。だが……


「それは、私共が知って良い情報でしたか……?」

「…? …………!! …すまない。あまり良くないかもしれない……」


ドレゴルド様が項垂れる。


「では、忘れましょう」


告げて、神父様に向き直る。


「神父様。あの魔錠は何もしなければ魔力を失うことはありません」

「おや。そうなのですか。では何かした場合は?」

「魔術に失敗した時のように散ってしまうような感覚がありました」

「けれど、君の魔力が周囲の魔素に混じってはいないようですね?」

「はい。とても不思議なのですが。けれど、もし、魔石のない魔錠の中や、ここではない何処かへ消えたと言うなら。日々、使いきることのない私の魔力を、魔力が足りずにいる子へ分け与えることが可能なのかもしれません」

「それが可能なら、助かる者も多いでしょうねぇ」

「余剰分で、誰かの為になるのなら、願ってもないことです」

「ここには居ないけれど、魔素を過剰に吸収する体質の方や魔力を過剰に生成してしまう体質の方もおられると聞きますからね」

「魔力が少なく、困っている方と助け合えたら、お互いにとって良いこと尽くしな気がします」

「確かに。けれど、夢のような話、でもあるね?」

「夢であり、希望であるのなら。その日を信じて強く生きられもするでしょう」

「遠ければ、絶望してしまうかもしれないよ?」

「……そうならないように支えるのが神父様達なのでは?」

「そうだね。けれども、目処が立たない内は話題に乗せない方が良いかもしれないね」

「そう、かもしれませんね。残念ですが……」

「悪用されたら怖い技術でもあるしね」

「力も技術も、使い方次第で善にも悪にもなるのは、これまでと変わらないのでは?」

「そうですね。人の暮らしが… 子供達の未来が良くなる為の施策であることを願うばかりですね」

「はい。ですが……」


神父様からアンディゴード様に向き直る。


「あの魔錠の管理を見る限り、大丈夫な気もします」

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