第28話 仕組みは……
ふむ……片手では拘束力がないのか、魔力を知覚する事も、魔術として使用する事も出来る。
更に右手首にも手錠をかける。
……成る程。
魔術の使い方がわからない。
これは認識障害か…?
ほぼ無意識に魔力を魔術にして使っている故に、改めて使おうと意識すると余計に分からなくなるものなのかもしれない。
けれど、魔力を知覚する事は出来る。
ならば、理論に沿って、手順を踏めば、使用出来るのではないか?
ほぼ無意識に使用しているとは言っても、発動経路を辿る事は可能なのだ。
魔道具を作る人や魔術を研究する人が魔術の発動経路…もしくは発動条件を理解し、式や陣を作成しているように。
基本的な、普段使いの魔術を。
理論に添って… 手順を踏んで……も発動しない。
だが、魔力は消費されている。
どこに消えたのか?
いや、違う。
魔術として失敗しているのであれば、魔力だけが消費されているのは間違いじゃない。
だが、失敗ならば魔力は散る。
けれど、その痕跡が感じられない。
……というよりも、失敗?
あれほど繰り返し使用してきた魔術を…?
何か、引っ掛かる……
本当に失敗した…?
本当に魔力は散った…?
本当は消えたのでは…?
だが、ならば、何処へ…?
もう一度、試して…… よく解らない……
魔術にしているから辿りにくいのだろうか。
純粋に魔力だけを使用する?
身体強化系なら魔力を纏うだけ……だが、解りにくい…!!
いや、上手く纏えず霧散したようではあった。
だが、散った魔力を感じ取れない。
違和感がある。
もっと判りやすく……ああ。
魔力を暴発させればいいのか。
…というより、コレを壊すつもりでやればいいのか。
そうだ。コレをつけられた者が一番にやろうとすること。
それを見越した対策であるはずだ。
考えすぎた。単純に破壊を目指して魔力を。
「はい。そこまで」
かけられた声と肩に置かれた手の重みに思考が止まり、魔力が散った。
……今のは確かに失敗で散った。けれど……
「鍵を」
「あ、ああ…! すぐに……」
慌てたような仕草で服を探り、取り出された鍵。
……まだ、検証が。
「駄目ですよ」
思考と共に引き寄せようとした手は。
肩から滑り降りた手に腕を固定されることで阻害され。
カチリ、と小さな音と共に手首は解放された。




