第21話 立場は明確に……
真剣な顔での頼み事に身構えていただけに、拍子抜けして、咄嗟に返答が出来なかった。
「いや、そのな!? この様な会話が成り立つのは大抵が随分と年上の研究者ばかりでな!? 同年代の者がいないんだ!」
慌てたように言葉が継ぎ足されていく。
「別にそれが悪いとは思わないし、彼等と話すのは楽しいからそれで良いと思っていた。だが、友と呼ぶには些か年が離れてもいてだな…… その… 君となら彼等と同じくらい楽しく語れるのではないかと…… 友になれるのではないかと、思ったんだ」
「……私は孤児院の育ちです。ここ以外、知りません。そんな私では無理があるかと存じます」
「今はまだ少ないが、それでも、兵士にも、騎士にも、魔術師にも、研究棟にも、平民出の者がいる…! 実力のある者が身分に関わらず認められるべきだからだ。これからはきっと、もっと増える…!」
「…貴賤を問わず、それは素晴らしい事と存じます。ですが、それ故の…新たな問題も生じているのでは…?」
「それ、は……!」
「私自身に向くだけならば良いのです。ですが、関係者に… 孤児院や孤児院の出身者に迷惑をかけてしまったら…? なにより院の子供達に向いてしまったとすれば… 私は私を赦せないでしょう」
「そうならないように! 庇護も、保護もきちんとしていく…!!」
「それが駄目、なのですが……」
「…っ!? 何故だ…!?」
「何故、あいつだけ。そう感じさせる行為だからです」
「……!!」
「優遇されている、と思われれば、それが不満や嫉妬に繋がり、妬み、嫉み、焦りを煽るでしょう」
「悪い方にばかり考えすぎだ…!!」
「…勿論、切磋琢磨を考える者も居るでしょう。ですが、芽が出る前に摘んでしまえば良い、と考える者がいてもおかしくはないのです。可能性がある限り、それを軽んじることは出来ないのです。私共は圧倒的弱者なのですから……」
「ならば…! ならば、どうすればいいと言うのだ…!? 君を諦め、友を作らずに過ごせば良いのか…!?」
「特別扱いをしないで頂ければ良いのです」
「……!?」
「寧ろ、雑に扱うくらいで良いのです。面白い玩具を手に入れた位でも良いかと」
「無理だ! この僅かな時間ですら、僕は君を気に入った。それなのにそんな扱い出来るわけがないだろう!!」
「身分差を考えれば、そういう扱いで十分なのです。それがこちら側の身を守る事にも繋がりましょう」
「出来ない……!」
「演技であっても、ですか?」




