第20話 嘘偽りなく……
「先は丁寧に名乗ってくれたのに、こちらは名乗らず失礼した。……迷っていたんだ。どう名乗るべきか。だが、決めた」
立ち上がった彼は正面に立ち、胸に拳を当てた。
「僕はドレゴルド=アーズウェルド」
「……っ! その名は……」
「そうだ、僕はこの国の第3王子だ。君が偽りなく話してくれた様に、僕も嘘偽りなく話したい」
「嘘偽りなく… その名、で…… 何を、お話に…?」
「君は5歳だと聞いたが、本当か?」
「はい」
「僕より1つ年下で… その知恵、その知識、その口調、か。それが異質であることは理解しているか?」
「……私と1つしか違わない貴方様が、先の魔術とその在り方を理解し、同じだけ話せるのですから、あり得ないことではないのではないでしょうか…?」
「僕のコレは王族としての教育故だ」
「幼くとも、教育を受けられれば、そうなれる、のであれば…あり得るのでは……?」
「幼き子供に学業や鍛練、修行は苦痛ではないか?」
「私共の様に、学ぶ事が遊びの一環で… 学ぶ事を楽しく思えば、先へと進む者が居てもおかしくはないのでは…?」
「では、問おう。君は勉学が好きか?」
「知らなかった事を知れる事は楽しく思います」
「繰返しの鍛練や修行は楽しいか?」
「出来なかった事が出来るようになる事は嬉しく思います」
「君にとって、学びとはなんだ?」
「己の世界が広がる喜びです」
ドレゴルド様は神父様に向き直る。
「…神父殿。他の子供達もこうなのか?」
「この子程ではありませんが、似たり寄ったりな部分はあるかと」
「……あるのか。だが、やはり…」
言葉を止め、一度、目を伏せたドレゴルド様はぎゅっと拳を握り直し、真っ直ぐに見つめてきた。
「頼みがある」
「私で応じられる事であれば……」
「僕の友になってくれないか…!?」
……そう来たか!!




