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第18話 実験を…

神父様は棚からグラスと香を焚く香台、香木を取り出し、小さな盆に乗せて持って来てくれた。


「失礼します」


神父様が机に香台を置き、香木に火を点ける。

薄く広がる薫りと昇る煙。

その煙の上にグラスを逆向きで翳す。

グラスの中に煙が充満した頃合いで、その向きのまま、盆の上に置く。


「ここに少しの風を起こします」


神父様と私が、唐突に始めた事を。

説明も求めず、興味津々に見つめる姿に告げ、グラスの中に小さな風の渦を作れば…。


「おお…! 煙が動き出して…渦を巻いている…!!」

「はい。空気が動いて、風となっている事が解りやすいかと」

「そうだな!」

「では、それをこう……」


ぎゅっと固めて見せる。


「…っ!! 煙の範囲が小さく、濃くなった…!?」


グラスの中の白煙の球体に2人の視線が釘付けになる。


神父様が再び、グラスの中を薄煙で満たしてくれる。

薄煙の中で白煙の球体はその存在をきちんと主張していた。


「もう一度……」


薄煙を白煙の球体に沿わせるように固めれば、一回り大きくなった白煙の球体がグラスの中に残った。


「それは…! それは持ったり出来るのか!?」

「どうぞ」


神父様が持ち上げてくれたグラスの中から白煙の球体を移動させ、差し出された手の上に置いた。


「先より随分と軽いな」

「グラス2個分ですので」

「そうか… そうだな。だが、しかと触れられる。不思議なものだ」


左手に乗せた白煙の球体に右手の人差し指で触れている姿は院の子供達を思い出させた。


「…どうか、なさいましたか?」


白煙の球体に視線を向けていた筈の人物からの問いに、小さく首を傾げてしまう。


「…どう、とは?」

「…いえ、その…」


言葉に詰まる姿に、神父様が助け船を出してくれた。


「院の子供達と反応が同じなので安心したのですよ」


神父様の言葉に2人の視線が神父様に向く。


「安心、ですか?」

「ええ。あまり類を見ない魔術でしょう? 戸惑われ、怖がられ、欲される… そういった事もありまして」

「それなのに見せて下さったのですか…」

「大丈夫かと思いましたので…」

「勿論、大丈夫だ…! だが、無理をさせたならすまない。けれど、これは凄い発見だ。空気を固める事もだが。煙で空気の流れを解りやすくしたことが、また凄い。目に見える成果は、鍛練の継続に効果的なんだ」

「そうですね。成果や結果…そういったものが見えないと、やはりやる気…意欲の低下に繋がりやすく、疑心暗鬼になる者も現れます」

「目的が明確になるのも良いな!」

「目的、と言えば。シア、あれもお見せしては?」

「はい。では……」


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