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第17話 実践を……

「僕は落ち着いている!!」

「どこがですか。きちんと答えを聞いてから、質問を返さなくては彼女も困るでしょう。あと、前のめりになりすぎです。それは怖がられても仕方ない勢いです」

「なんだと……」


引き離されて、勢いで放った言葉を否定された上での指摘に驚愕の様子で向き直った。


「僕は、怖かったか……?」

「あ、いえ… 私は、少々、驚いただけで……」

「…っ! 見ろ、怖がられてなど……」

「面と向かっての肯定はしにくいでしょう」

「…!?」

「驚かせたか、怖がらせたか、どちらにしても、礼儀がなっていなくて申し訳ありません」

「いえ。本当に大丈夫ですので… その… 先の質問の説明の為に、そちらのクッションを取って頂けますでしょうか…?」

「……お気遣い痛み入ります。こちらで宜しいですか?」

「はい。ありがとうございます」


受け取ったのは、ふかふかのクッション。


「クッションの中には綿が入っておりますが、同時に空気も入っていることで、このふわふわふかふかの状態を保っております。故に、こう……」


ぎゅっと両手で挟み込んで押し潰して見せる。


「押さえ込むと綿の隙間にあった空気が押し出され、綿の体積… 容量…? のみになる為、小さく薄くなります」

「うむ」

「空気は目に見えませんが、存在していて、動きます。風は空気が動くことで感じられる現象です」

「うむ」

「では、綿が小さく… 圧縮…? されるように、空気も圧縮出来ないだろうかと考えました」

「む…?」

「押し固めていくことは出来ないのだろうかと思ったのです」

「ふむ……」

「その試行錯誤の結果がこちらです」


クッションを机の上に置き、魔術を展開すれば、手で押さえ付けた様に押し潰された。


「おお…!!?」


クッションを凝視する姿を見ながら考える。


確かに空気を圧縮しても、この結果は得られる。

だが、実際には、上から圧をかけた……重力の概念だった気がしないでもない。

とは言え、この世界に重力の概念がない為、説明に使えないのだ。

今、見せて、知らせる事で、研究が進み、それらしい名称がついた魔術として広まると良い、という打算もある。

これは応用方法によっては有用な魔術となるだろうから。

勿論、良くも悪くも、だが……


「これを体験することは出来るか!?」

「はい。少し持ち上げますのでクッションの下に、お手を置いて頂けますれば……」

「これで良いか!?」


なんの躊躇いもなく、差し込まれた手。

そっと背後に視線を向ければ、溜め息と共に頷かれた。


「では、参ります」


再度、重みをかけてゆく。


「お、おお…! 確かに押されている…!」


驚きの中に、楽しそうな響きが混ざっている。


「不思議だな… 目に見えないがちゃんとここに何かがある……」


瞳に宿る純粋な興味に神父様を振り返る。


「神父様」


呼び掛けに神父様は穏やかに笑んで頷いてくれた。

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