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第14話 訪れたのは……

何故… ノック………


ここは治癒室であり、部屋にいる筈の私はまだ目覚めていない設定だ。

様子を見に来るならノックはせず、静かにドアを開けようとする筈だ。


だとすれば……


「……シア……」


小さな呼び掛けは神父様だ。


ドアノブに施した魔力を解き、再度、魔力を使用してドアを薄く開ける。


薄く開いたドアから顔を覗かせた神父様は少し驚いた顔で、それでも静かに体を滑り込ませ、ドアを閉めた。


いつでも擬装出来るようにとベッドにいた私に近付きながら、ベッド脇の机の上を確認した神父様は僅かに安堵の色を浮かべた。


「ちゃんと食べて、飲む事が出来たんだね。気分が悪くなったりとかしなかったかい?」

「はい。問題ありませんでした」

「そう、それなら良かった。倒れた時の状況は聞いていたから、頭を打ったりしていないのは判っていたんだけど、倒れた原因が頭痛って言っていたから少し心配していたんだよ」

「……ご心配をお掛けして申し訳ありません」

「いいんだよ。心配するのは私達の大切な役目でもあるのだからね」

「役目……」

「君達の親としてのね」


柔らかく笑む神父様は手を伸ばして私の頭を撫でる。


「朝は君にしては珍しく、焦っている…というか、余裕がない、かな… そんな風に見えたけど。随分、落ち着いたようだね」

「それは……」


確かに気が急いて……やるべき事ばかりが見えて、焦っていたのだろう。

今もやるべき事は増え続け… 気付く度、また増えて… を繰り返しているのだけれど。


「……色々、考えて、逆に落ち着いたと言いますか…」


やることは多くても、出来ることには限りがあり、段階を踏んでいかなくてはならないのだから。


「…こつこつ頑張っていくのはこれまでと変わらないと……」


時間は限られている。

だから気が急いてしまうが。

着実に、確実に、けれど迅速に、こなして、進んでいくしかないのなら。


「これまで同様… いえ、これまで以上に出来る事をしていくだけだと気付けましたから」


頭を撫でられたまま、神父様を見上げる。


「…ご迷惑とご心配をお掛けする事が増えるかもしれません。それでも……」

「シア」

「……はい」

「幾らでも迷惑を掛けてくれて良いし、沢山、心配させて欲しい位だから、気にせず、頼っておくれ」

「神父様……」

「これまで、君に助けられてきた事を思えば、皆、喜んで手を貸すだろう。君の行いが君を助けるだけだから、君は気にせず、皆に頼れば良いのだよ」

「……ありがとうございます」

「うん、沢山、頼って、甘えておくれ。君を甘やかしたい者は多いんだよ。私も含めてね」

「……そう、ですか」


嬉しいような、嬉しくないような発言が聞こえたが…

まぁ、協力してくれる人が多いと受け取れるから良しとしよう。


「それで、何があったんですか?」

「あー…… うん。邪魔はしたくなかったのだけれど……」


神父様は私の頭から手を離し、少し困った顔で言葉を続けた。


「来られたのだよ」


「……どなたが?」


「ドレゴルド様が」


………早すぎるだろう!!?

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