第10話 山積みに……
「な、何故!? 事情って…あの男達の事は大して…… まさか、私…気を失った時、ヴェールがはずれて…?」
「いいや、それは大丈夫。そうじゃなくて、君が男達にしたこと… 君自身のことが聞きたいようでね…」
「……っ」
そっちか…!!
不味いな…興味を引いてしまったか…
「うちの子達は必要最低限の事しか答えてないと言っていたよ」
「必要最低限……」
「年齢や性別、後は魔力操作が得意な方で、位だと。他の事は自分達からは話せないと応じたらしい。当然の対応だね。けれど、だからこそ君自身から話を、という流れになってしまったのかもしれない」
間違えてはいない。
当然の対応であることも間違いない。
けれど…………
「……神父様。部屋に戻ります」
「え?」
「私が部屋から出るまで、私は目を覚ましていない、でお願いします。誰も来ないように…あぁ、食事も部屋を出るまではいりませんので、その方向で調整して下さい」
ヴェールを下げ、礼をして、踵を返す。
「ま… ちょっと、待って。昨夜も食べてないでしょう!? それなのに…」
肩を掴まれて引き留められる。
「食事どころではないのです…!」
ただでさえ考える事が多かったのに…
問題が山のように重なっていく…
考察の時間が必要なのだ…
懸念事項が多すぎる…!
「育ち盛りの君が食事を抜くのは良くない…!」
正論だ。
確かにエネルギー不足は思考にも悪影響を与える可能性がある。
「…昨夜の食事、あるのではないですか?」
「君が起きた時に食べられるように用意されていた筈だよ」
「それを少し頂いて部屋に行きます」
「シア!?」
「…考えたい事があるのです、急ぎで」
「…お2人のことかい?」
「それも含めて、です」
「シア……」
神父様がヴェール越しに見つめてくる。
「…無理をしてはいけないよ」
「……」
「1人で抱え込む必要はないのだからね」
「……」
「君は確かに大人びているけれど、まだまだ庇護が必要な子供でいていいんだよ。私達に、甘えて、頼って、健やかに育つ。それが私達の願いで望みなのだから」
「………ありがとうございます。考えが纏まって落ち着いてから、もう一度、お話しさせて下さい」
「うん、わかったよ」
肩から手を離し、頭を撫でてくる神父様。
心配させているのがよく判る。
それでも、今は……
「皆が起きる前に戻ります」
神父様の手が離れ、扉への道を開けてくれる。
もう一度、しっかりと頭を下げ、礼拝堂を後にする。
ここに来た本来の目的は達成されていない。
けれど、それよりも先に対処しなければならない案件が出てきたのだから仕方がない。
昨夜のようにオーバーワーク… いや、キャパオーバーか… にはならないように気を付けなくてはならないが、それでも、これは急務だ。
彼等が孤児院を訪れる事など、ゲーム内ではないのだから。




